一箱がボックスになる。


 8時起床。もう少し寝ていたいところだが、今日はいくところがあるので目覚まし時計で起きる。


 肌寒い朝だ。このところ朝はシャワーで済ませていたのだが、今日はお湯を湯舟にためてつかる。BGMは中山うり「ドレミファ」。


 携帯本に堀江敏幸「河岸忘日抄」(新潮文庫)を選び、電車に乗る。日比谷線・千代田線と乗り継いで千駄木へ。


 まだ小雨の僅かに残る不忍通りを歩いて古書ほうろうに着く。店内には宮地さんがいた。先日の一箱古本市では集中レジ方式で参加したので、売上金は打ち上げ会場で受け取ることになっていたのだが、外市へ移動してしまったため参加できず、それを古書ほうろうさんで預かってもらっていたのだ。
 宮地さんのお顔は存じ上げていたのだが、ちゃんと話したのは初めて。この日記を読んでくださっているそうで恐縮する。“肌色文庫”の売上げは計41冊で12,000円なり。書肆紅屋さんを見習ってこれで小林信彦「定本日本の喜劇人」(新潮社)を買うことにしよう。


 古書ほうろうで1冊購入。


 「翻訳ブックッカフェ2」は持っているのだが、こちらは未入手のままであったので。本当はもっとじっくり店内を見ていたかったのだが、これからの予定があるため千駄木を後にし、東西線で中野に出てJRで高円寺へ。


 高円寺の西部古書会館で1時から岡崎武志さんによる「古本デスクジョッキー」のイベントがあるのだ。1時過ぎに到着するとすでに始まっていた。空いていた一番前の椅子に腰掛ける。どうやら、この会場で岡崎さんが選んだ古本を紹介しながら希望者にプレゼントするという主旨らしい。
 吉田健一「私の食物誌」(中央公論社)、「小津安二郎」(岩波新書)、昔の歌本(天地真理表紙)、昔の「TVガイド」(昭和59年)などが登場。僕は和田誠「わたくし大画報」(講談社)を貰う。顔見知りということもあって壇上に呼ばれ、ちょっとだけ話す。BOOKONの中島さんも呼ばれていた。会場には荻原魚雷さんや南陀楼綾繁さんの姿もあった。


 イベント終了後、展示即売会を覗く。今回は「ちいさな古本博覧会」と銘打って音羽館アジアンドッグオヨヨ書林といった若者にも人気のある古書店が集まったイベントだ。
 聖智文庫さんから1冊。

 文庫は角川もちくまも持っているのだが、単行本は未入手。文章は文庫で読めるのだが、小林泰彦画伯による挿画を堪能したくて購入する。グラシン紙に包まれた美本はさすが聖智文庫ですね。
 そう言えばとなりの棚であったハーフノートブックスは全冊署名本で揃えていた。さすがだ。


 3時過ぎに古書会館を出る。まだ昼食をとってない。高円寺となると定番のベトナム料理店チョップスティックだ。今日も隣りのつけ麺屋は仕込み中。一度食べてみたいと思っているのだが。


 牛肉のフォーと海南チキンライスからなるAランチを食べる。寒いので熱いフォーがうれしい。店内のポスターによると、この店は生麺を使ったフォーが自慢らしい。フォーの麺は乾麺を使っているところがほとんどで生麺を使っているところは珍しいのだとか。そういうものなのかな。今度ベトナムに詳しい友人に聞いてみよう。


 この後、荻窪に行き、ささまとブックオフを覗くが、何も買わず。


 西荻に移動し、音羽館へ。

 ちょっとワケあって「地獄変」を読みたくなったため。このシリーズは今ちくま文庫版が出ているが、個人的にはこのソフトカバー版の方が好きだな。


 吉祥寺へ。
 百年に初めて行ってみる。思ったより広く、本の数も多い。ヴィジュアル系から古い小説本まで品揃えも多彩だ。佐野繁次郎装幀の『銀座百点』も置かれていた。挨拶代わりに、買おうと思っていた最近出た文庫を数冊。


 バサラブックスにも寄る。ここにはもしかしたら『CABIN』10号があるかと思ったのだがなかった。やっぱり三月書房に頼まなきゃだめか。


 帰りの車内でも「河岸忘日抄」を読みながら。この前読んだ「めぐらし屋」はちょっとピンとこなかったのだが、これはいい。ブッツァーティクロフツチェーホフの作品を織り込みながら、舟で暮らす主人公の日々を語って行く。大好きな「いつか王子駅へ」のフランス版ともいえる作品だ。
 フランス系なのでiPodマイルス・デイビス死刑台のエレベーター」を聴きながら読み進める。
 

Ascenseur Pour L'Echafaud (Lift To The Scaffold): Original Soundtrack

Ascenseur Pour L'Echafaud (Lift To The Scaffold): Original Soundtrack


 帰宅後、アマゾンに「定本日本の喜劇人」を注文する。一箱の売上げで小林信彦のボックス入り2冊本を購入するというのもなんだか面白い。


 「河岸忘日抄」と「地獄変」を読み進める。