今日は新横浜で野外仕事。このところデスクワークが続いていたので花粉症にはよかったのだが、今日はそうもいかない。天気はいいが、風が強いという花粉症にはたまらない状態だ。仕事が終わる頃にはノーガードで打たれたボクサーのように顔が赤く反応してしまった。
帰りの車内で一昨日から聴き始めた桂米朝「地獄八景亡者戯」を聴き終える。弟子の枝雀・吉朝両師匠のものを最近聴いていたので久し振りに正調「地獄八景亡者戯」に触れた感じ。米朝師匠のこの噺を最初に聴いたのはフジテレビでやっていた花王名人劇場だった。1時間枠をすべて費やして放送していたが、正味の放送時間を考えると短縮版であったのだろう。
仕事終わりが夕方になっては神保町にはいけないので、気晴らしに一駅前で下車し、ブックオフに寄る。
- 週刊文春編「私の大好物」(文春文庫ビジュアル版)
- 週刊文春編「私の大好物2」(文春文庫ビジュアル版)
- 小林勇「蝸牛庵訪問記」(講談社文芸文庫)
- 佐多稲子「月の宴」(講談社文芸文庫)
- 佐藤忠男「みんなの寅さん」(朝日文庫)
- 源氏鶏太「御身」(中央公論社)
- 永井龍男「雑文集 ネクタイの幅」(講談社)
すべて105円棚。「御身」を見つけたときはドキッとした。ひときわ目を惹く佐野繁次郎装幀本。永井本は原弘装幀。雰囲気のある本だ。今日はいい単行本が買えた。
帰宅後、風呂に入って花粉を体からこそげ落とす。
今日買ってきた佐多稲子「月の宴」を眺めていると「『たけくらべ』解釈へのひとつの疑問」という文章に目がとまる。これは、美登利の変化が初潮によるものだという通説に対して佐多さんが客をとったのだという考え方を示したエッセイ。この文章が反響を呼び、国文学者の前田愛氏が「美登利のために」という反論を書いて一時期「たけくらべ」論争として評判になったのだ。ちょうど僕が国文科の学生だった時で、前田愛「都市空間の中の文学」(筑摩書房)が国文学界に新風を吹き込んだ時期でもあり、「子供たちの時間」というすぐれた「たけくらべ」論を持つ前田氏が反応したことで周囲の注目をひいたのだった。
今日も小林信彦「日本橋バビロン」を少し読む。御馴染みの上野動物園の黒豹事件の話が出てくる。どうしてか、この作品は一挙に読めない。少しずつ読み進めていくしかなさそうだ。
明日は午前中雨が残るらしい。古書往来座“外市のしずく”に行く予定なので早目にあがってほしいものだ。
思えば今日は誕生日。花粉症に殴られた一日だったが、いい本を買えてまずまずの誕生日であったか。
この春は、花粉症のケアをしながら御身大事にいきたいものだ。