遠回りの散歩。

本日、職場はこの週末に予定されているイベントの準備でごった返している。自分の関係する数種類の仕事の予定が同時多発的に入り、あれこれとやり繰りをしてなんとかこなす。昨日できなかったビデオ編集も職場でやってしまう。忙しさに追われてイベントの準備は終わったが、明日と明後日は出張のため僕自身はイベントにまったく関わらないのだ。なんだかな。
帰路、本屋で1冊。

  • 丸谷才一「いろんな色のインクで」(マガジンハウス)

これは丸谷氏が毎日新聞に書いた書評を中心にまとめたもの。冒頭の「藝のない書評は書評ぢやない」という書評に関するインタビューが面白い。書評の本で書評に対する書評を読む。なんだかこの遠回りの散歩みたいな感じが好きだな。いつもこういう気分で暮らせればいいのだけど。
「退屈男と本と街」経由で「書肆アクセス半畳日記」の“広島からのお嬢さん”とそのお嬢さんのブログである「日々是読書」の“神保町見物記”を読む。「日々是読書」のnanakikaeさんというのはなんとすごい女子高生(でいいのでしょうか?)なのだろう。広島から修学旅行で東京に来て、その自主研修時間を利用して書肆アクセスで「田中栞の古本教室」と「書肆ユリイカの本」を購入する姿に驚きと感動を覚える。
最近、10代作家の文学賞受賞がたびたび話題として取り上げられるが、彼女のような10代読書家にも同様の賛辞が贈られるべきだと思う。厳しい言い方であるが、10代作家の方達が10年後作家として残っていると断言するのは難しいが、nanakikaeさんは10年後も20年後もきっと本を愛し、本を大量に読んでいるに違いない。そうでなければ、修学旅行中にこれだけの本を買い、しかもその日のうちに1冊読んでしまうなんてことができるわけがないもの。長い目で見て、出版界や書店に貢献するのはこういった若い読者なのではないのかな。それにしても、なんだがうれしくなってくる話だった。

いろんな色のインクで