お嬢さんとサド

最近、むやみやたらと眠い。以前より現在の方が1日の平均睡眠時間は30分以上増えているはずなのだが。
そのため、仕事から帰って本を読もうとしても、ものの10分とたたないうちにコックリコックリ。「新・読前読後」のkanetakuさんが、購入日のうちに読んだという坪内祐三「古本的」もまだ半分しか読み終わっていないありさまだ。
一昨日東京堂でもらってきた「読書のすすめ 第10集」(岩波文庫編集部)をペラペラ眺める。角田光代さんの「本のリズム、暮らしのテンポ」というエッセイに目が止まる。日常生活で読みたくなる本と旅先で読みたくなる本では本の持っているテンポが違うと角田さんは言う。前者のテンポは速く、後者は遅いのだそうだ。なんだが分かる気がする。そして、小説家らしい比喩で岩波文庫をこう表現している。
岩波文庫の棚は、流行に忠実にスカートを長くしたり短くしたりするクラスメイトのなかで、ひとり、膝丈の規定スカートを着ている静かな佇まいの、おとなしいお嬢さんみたいだ。〉
なるほどね。僕などはそういうお嬢さんの本棚にさりげなくマルキ・ド・サドの本が並んでいたりする光景に心惹かれる。