山藤章二・洲之内徹・寺島靖国

仕事帰りに、TSUTAYAにより映画のDVDを借りる。「シービスケット」、「ハリーポッターと秘密の部屋」、「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」の3本。これらはすべて仕事がらみ。ここのところ映画を観ていないので、仕事が済んだら個人的に観てやろうと思うのだが、すべて2時間を越えるものであるため、はたして返却期限までに見切ることができるかは大いに疑問。
久しぶりに地元の古本屋を2軒まわる。百円均一で1冊購入。

1月20日の「新読前読後」で『山藤挿絵本および夕刊フジ連載随筆研究序説』として山藤章二が挿絵を書いた夕刊フジ連載物一覧が載っており、それを読んで懐かしさを覚えていたところに目に入ったのがこの本であったというわけ。当然この本も夕刊フジ連載(昭和56年10月20日から昭和57年2月14日まで)のものを単行本化したものである。夕刊フジの山藤挿絵本は売れ筋であり、よく書店で見かけた。上記のリストを眺めて自分が読んだものを挙げると、

筒井康隆『狂気の沙汰も金次第』(新潮文庫
吉行淳之介『贋食物誌』(新潮文庫
井上ひさし『巷談辞典』(文春文庫)
中島梓『にんげん動物園』(角川文庫)
村松友視『私、小市民の味方です』(角川文庫)
景山民夫『食わせろ!!』(角川文庫・講談社文庫)

以上の6冊である。全15冊のうちだから約3割強という比率となる。つかこうへい氏の本は未読であるはずと家で眺めてみると、山藤氏の挿絵のあちらこちらに見覚えがある。しかし、この本が出たのが僕の高校時代だから、つかこうへいについて書かれた本を読んではいたが、氏の本自体を買ったりはしなかったはずだから、どうやら山藤氏の挿絵だけ立ち読みしていたらしい。とすると、上記の6冊も本当に読んだか怪しくなってきた。これらの本はすべて学生時代に出た本であり、その頃の本はすべて実家に残してきたので手元で確認ができないのだ。まあ、間違っていたとしても誰に迷惑をかけるわけではないので、そういうことにしておいてもらいたい。

家のポストに冊子小包が届いていた。中には『芸術新潮』の1994年11月号が。この号は特集「今こそ知りたい! 洲之内徹絵のある一生」を掲載している。つまり、『芸術新潮』誌上で14年間に渡りエッセイ「気まぐれ美術館」を連載し、1987年に74歳の人生を終えた現代画廊の主人であり、作家である洲之内徹氏の特集号なのである。この小包の発送元は古書スムース堂を主宰する林哲夫氏。実は去年の12月に一度この号をホームページの目録で見つけ注文したのだが、既に売り切れており、林氏からお詫びのメールをいただいた。その返信に、今度は目録に毎日目を通し、この号が出たらすぐ注文するようにしますという内容を書いてお送りした。なぜ、古書スムース堂で洲之内徹特集号を買うことにこだわるのかというと、僕が洲之内徹ファンになったのは林氏を同人とするミニコミ誌「sumus」の洲之内徹特集号を読んだのがきっかけであり、そして初めて手にした洲之内徹氏の本(新潮文庫「絵の中の散歩」)を購入したのも同人の岡崎武志氏が三鷹上々堂内に設置している岡崎武志堂の棚からなのである。そんな思いが天に通じたのか、はたまたそんなメールを送った僕を不憫に林氏が思われたのか、ひと月ほどでまたこの号が目録に載り、今回はすかさず注文メールを出したという次第。芥川賞候補作家時代の小説集は除き、氏のエッセイ集は単行本・文庫本すべて、それに昨年東京古書会館で行われたアンダーグラウンドブックカフェで署名入りの「洲之内徹小説全集」も手に入れていたのだが、この特集号は見つけられなかったのである。なにか縁あるかたちで巡り合えたことがうれしい。

念願の洲之内徹特集号を眺める。このブログを始めた日に手に入れた昔の特集号と比べても規模・内容両面で勝っている。初めて見る写真も多く、洲之内氏が愛した絵画たちの図版も数多く掲載されている。これから折に触れ何度もページを手繰る一冊となるだろう。