ハワイでブックオフ。


 本日は休日ということもあり、フリーで動ける。
 まず午前中は、ホテルのランドリーでたまった洗濯物を片付ける。
昼前にホテルを出る。仕事で来ているため、特に行きたい場所があったわけではないが、せっかくなのでワイキキの通りをアラモアナショッピングセンターまで歩くことにする。日差しはさすがにきついが、風が心地よく吹いてくるので嫌な感じはしない。
30分ほど歩いてアラモアナショッピングセンターに到着。別に何か買いたいわけではないが、この有名なハワイ買い物ツアーの聖地を一度覗いてみたかったのだ。ブランドショップが並ぶモールを歩いていると、「白木屋」の看板がある。日本のデパートなのでどんなものがあるのかちょっと入ってみると、奥のほうに見慣れた赤と黄色と青の看板が。あれ、こんなところにブックオフがあるじゃないか。
もちろん、素通りはできないので棚を覗く。ここは1ドル棚がある。カナダの2ドル棚よりも安い。荷物を増やしたくないのに、つい4冊ほど抜いてしまう。

 岡崎武志さんおススメの「桟橋で読書する女」は、日本のブックオフで探していたが見つけられず、まさかハワイで遭遇するとは思わなかった。
 「黒いハンカチ」は、小沼丹の知られざる連作探偵小説。これまでの外市に2回出品し、その度に売れてしまう人気の1冊。次回の外市のために仕入れておく。
 ショッピングセンター前からトロリーバスでワイキキの免税店前まで戻る。窓のないこのバスを海からの強い風が吹きぬけていく。気持ちいい。
 とりあえず、免税店の中を覗いてみるが、僕には縁のない高級ブランド店がびっしり詰まっているところを通り過ぎるだけで外へ出る。昼食をとろうと思うのだが、目抜き通りにはちょうどいい店がなく、ビーチの見える小ぶりなレストランでもあればと海のほうに向かって歩く。ホテルの建物群にさえぎられて海はまったく見えない。建物と建物の間の狭い路地を進んでいくと、その先に突然ビーチが姿を現す。沖の紺、その手前のマリンブルー、そして波打ち際に近づくほどに緑がかる海の色のグラデーション。白い砂浜に青い空、そこに飛ぶ白い海鳥。なんだか笑ってしまうくらい見事に美しい光景だ。ただ、あまりに整いすぎていて作り物みたいに現実感がない。感心しながらも、どこかいたたまれなくなり、また海の見えない目抜き通りに戻る。
なんどもそこらをグルグルと回った後、通りに面した2階のレストランにやっとおさまる。ピザを売りにした店らしいが、ひとりでピザ1枚を頼んでも処理に困るので、スパゲッティ・ボロネーゼとペプシにする。注文を終えて正宗白鳥「世界漫遊随筆抄」を取り出す。海外旅行を思い立った白鳥が最初に着いたのは布哇(ハワイ)だった。ハワイって漢字でこう書くんだね。その後、アメリカ本土に行き、大西洋を渡ってフランスのパリ、イタリア、ロンドン、ベルリンなどを回って帰国している。白鳥の淡々とした記述がいい。
食後、ホテル近くのスターバックスでコーヒー。先ほど買った「桟橋で読書する女」のさわりを読む。時折、店に入ってくる人の気配を感じて目を上げる。そこに上半身裸の男性がいた。そうだ、ここはハワイだったっけ。
コーヒーがなくなったところでホテルに戻る。シャワーを浴びて、新しいTシャツに着替え、パソコンを立ち上げてここまでの日記を書く。窓の下にはホテルのプールがあり、そこで遊び興じる人たちの多言語による歓声が聞こえてくる。
夜は、ホテル近くの鉄板焼きの店に行く。焼き手の店員がジャグリングのようなパフォーマンスを見せながら、野菜、海老、肉、ホタテなどを焼いていく。ご飯と味噌汁がついて充実していた。
ホテルに戻り、「世界漫遊随筆抄」を少し読む。