日曜日のメッキ。


 朝5時半に起きて、朝風呂。体を清めて今日の好首尾を祈念する。


 7時に宿を出て、仕事会場へ向かう。風は湿度もなく心地よいのだが、すでに陽光は力強く降り注ぎ、今日も暑い一日になることを伝えている。


 本番前の準備を済ませ、後は結果を待つばかり。ここまで来るのに足掛け6年近くをかけてきたのだ。必ず思い通りの結果が出るはずだと自分に言い聞かせる。
 「余裕ですよ」と言っている同僚の顔にもこころなしか緊張が見える。


 午後1時前にすべて終わる。結果は不首尾。あと一歩というところで及ばなかった。


 悔しさを口走る同僚。「結果を出せず、すみませんでした」と謝るスタッフ。泣き出す者もいる。


 しかし、これが我々の現実なのだと受け入れるしかない。最後のミーティングで「みんながいたから、ここまでくることができた。ありがとう」と感謝する。


 本音を言えば、たまらなく悔しいけれど、それを口に出してももう愚痴にしかならない。


 気を取り直して帰路につく。


 ある出会いと偶然それを活かせるスタッフと環境が整っていたため、以前には想像もできなかったビックチャンスにまで育て育むことができた。それはもろくも現実の壁にはじき返されてしまったけれど、たとえわずかな期間でも夢をみさせてくれたのだから、プラスに考えることにしよう。


 御殿場経由で東名に入るが、大井松田から渋滞30キロとの掲示がある。行きだけではなく、帰りにも現実の厳しさがあった。


 海老名で夕食。行楽で疲れた家族づれでごった返すサービスエリアのテーブルには、可能性に満ちあふれてキラキラとしていた日曜の朝のメッキがはがれ、色あせた日曜の夜の姿があった。


 夜の9時過ぎに帰宅。
 結局、携帯本として持っていった高島俊男お言葉ですが…8 同期の桜」(文春文庫)をほどんど読まなかったことに気づいた。


 今日のBGMはこれ。

イッツ・ア・ブルー・ワールド

イッツ・ア・ブルー・ワールド