雨音はモードの調べ。

 今日の昼は、ダージリンのファーストフラッシュをいれる。あまり蒸らしすぎないうちにカップに注ぐ。薄い琥珀色をしたそれはやはり美味しい。


 夕方、とりあえず今日やるべき仕事を終えて空を見ると、なんとも不気味な黒雲が天を覆っている。雨になる前に帰ろうと職場を出た途端に豪雨が降り掛かってきた。急いでバス停に向かうとちょうどいい具合にバスが。


 路面の跳ね返りで白く煙る中をバスは走りだす。そのとたんに白い閃光が走り雷鳴が轟く。いやもう、とんでもない時に退勤したなと少し後悔。


 駅ビルに逃げ込む。
 本屋へ。仕事の本を1冊買って、『本の旅人』6月号を貰い、またバスに乗って帰る。


 バス停から家に辿りつくまでにびしょぬれとなった。部屋の中には豪雨が屋根を叩くドワーッという音が充満している。TVをつけても、音楽をかけても雨はその存在感を消そうとしない。諦めて読書。
 雨の似合う「めぐらし屋」を今日も読む。最近、本を読む気力が衰えているので、さして厚くもないこの作品を途切れ途切れに50ページほど読んだ。


 しばらくTVを見てから、今度は沢木耕太郎「246」(スイッチ・パブリッシング)を手に取る。30ページほど読む。記述の中に『ビックコミック・スピリッツ』が隔週刊から週刊に変わる話題が載っており、そうかあの頃のことなのかと思う。今から21年ほど前はほぼ毎号このマンガ雑誌に目を通していたんだよな。そして、『スピリッツ』から『モーニング』に関心が移り始めた頃に沢木氏の『深夜特急』の1と2が書店に並んだのだ。


 今日は読書のBGMにこれを聴く。モード時代のマイルスを代表する1枚なのだが、マイルスクインテッドの鳴らす音に負けず、雨音がかぶさってくる。まるで雨音もモードの調べのよう。

Kind of Blue

Kind of Blue