「めぐらし屋」はいつも雨。

 午後3時過ぎに出張に出る。

 横浜駅から混んだバスに40分近く揺られていく。

 車中は志ん朝「お直し」を聴きながら。


 1時間ほどの会議に参加。席が一杯で立ちながら話を聞いた。


 帰りは始発の停留所から座って行く。志ん朝明烏」を聴きながら横浜駅へ。


 電車に乗り換えて地元へ戻る。
 本屋へ。

 レジで『図書』臨時増刊号(岩波文庫創刊80年記念 私の三冊)を貰う。

 帰宅して『図書』をぱらぱらと眺める。P52〜53に津野海太郎坪内祐三出久根達郎という名前が並んでいるのを見つけて顔がほころぶ。
 津野さんのあげる「書物」(森銑三柴田宵曲)、坪内さんの「オーウェル評論集」、出久根さんの「地震憲兵・火事・巡査」(山崎今朝弥)はそれぞれ積ん読本となっているので、手に取ってみたいところだ。


 「めぐらし屋」を数ページ読んでみる。この本の装幀にはyomunelさんも注目していたように黄色が特徴的に使われているのだが、それは主人公の蕗子さんが小学生の時に見た学校の黄色い置き傘の色からきているものだと知る。本を読んでいると、黄色は見返しだけではなく、ページとページのつなぎ目にも配されていて、開いた本の中央から黄色い光がこちら側に向かって薄明るく目に飛び込んでくるように作られているのだ。

めぐらし屋

めぐらし屋

 本から目を離すと、屋根を打つ雨音がじゃらじゃらと聴こえてくる。こんな風に雨の音を感じるのは久し振りだ。しばらく、ぼんやりとそのじゃらじゃらいう音に耳を澄ませていた。


 すこし読んだ印象としては「めぐらし屋」は雨の日が似合う作品だと思う。