行きは犬で帰りは猫。


午後3時に仕事が終わる。
先程、突然襲ってきた暗雲と落雷も過ぎ去り、また真夏の陽射しが戻ってきた。では、神保町へ。
向かう電車の中で大川渉編「短篇礼讃」(ちくま文庫)を読む。小山清「犬の生活」、牧野信一「繰船で行く家」読了。「犬の生活」は作者を思わせる《私》と拾った犬のメリーとの深い愛情交歓の話。これが人間の男女であればその溺愛ぶりに鼻白んでしまうかも知れないが、相手が子犬を身ごもった牝犬だけにその思いの濃さも温かいものに思える。小山清という作家にまた惹かれる。「繰船で行く家」はアンチクライマックス小説とでもいいたくなる佳品。じらされる喜びのようなものを感じてしまう。


本日から新刊買いの縛りが無くなったので、「どんと来い、神保町」という気分。

まずはアクセスへ。

  • 海野弘「新版都市風景の発見」(右文書院)

あわよくば編集工房ノアの「海鳴り」最新号が手に入るかと思っていたのだが、姿は見えず。
海野さんの本はサイン入り。

文省堂の新店舗に初めて入る。買わなかったが100円均一棚の分量が結構あり面白そう。

東京堂で。

金井本はサイン入り。マジックによる素っ気ない署名が著者らしくていい。
古通』には向井透史さんが青空古本祭やビックボックスでの古本市についてブログの影響という視点から文章を書いている。


田村書店店頭均一台(タテキン)で。

タテキンを覗くと、真新しい講談社文芸文庫が10冊ほど並んでいる。しめしめと上記の3冊を選ぶ。〆て1000円。


喫茶ぶらじるに寄り、冷やしブレンドで一息ついてから暑熱の残る古書店街へまた出て行く。


日本特価書籍へ。

吉井本は夏の京都携帯本候補として。大阪人である小松氏の“SF半生記”も大阪まで足を伸ばすつもりなので候補の1冊。帯の《私が日本を沈没させました。》というコピーに思わず笑ってしまう。
永嶺本はジゴマ映画が影響を与えた人物に伊丹万作の名前が入っているので手が伸びる。


帰りの車内では、先程買った「目白雑録2」を読みながら。猫好きの著者の身辺雑記エッセイの体裁をとったものだけに愛猫のトラーの話題があちこちに登場する。
行きは犬で帰りは猫だ。


帰宅後、「目白雑記2」を読み続けて読了。金井さんがこんなにサッカー好きだとは知らなかった。日本代表や中田英寿選手の実力をばっさり切って捨てるその豪快さはへんな目配りや気配りがないだけにいっそすがすがしい。


今日の4000番台。

スター・ブライト

スター・ブライト


ロンドンで活躍していたディジー・リースのセカンドリーダーアルバムが4023番。訥々とした流麗とはいかないそのトランペットプレイであるが、モブレー、ケリー、チェンバース、テイラーといった手練のサポート陣が一挙に彼をブルーノートの一員にしてしまった感じ。リースのオリジナルよりスタンダードナンバーの方が好きだな。