昼間の本の光源寺。


 洗濯を済ませ、クリーニング屋に寄ってから駅に向かう。すでに昼を過ぎており少しばかり気がせくのは仕方がない。今日は駒込の光源寺で行われている「羽鳥書店まつり」最終日なのだ。4時の終了時間に間に合わないということはよもやあるまいが、時間に急かされながら本の背を眺めるのは楽しくない。


 野口冨士男「作家の手」(ウエッジ文庫)を携帯本として鞄に入れたが、読みかけの「5人の落語家が語るザ・前座修行」(NHK出版生活人新書)を先に読みながら本駒込へ。


 地下鉄の出口を出て初めての街を歩く。ずいぶんと寺の多い所だなと思っている内に光源寺へ到着。すでに境内に張られた複数のテントの中には本箱をのぞく多くの人の姿があった。寺の名前にふさわしく人々の上には明るい陽光が降り注いでいる。最終日の午後とあって箱の中はあちこち隙間がある。それでも残っている本たちは決して悪い本ではなく、すでに持っていなければ買っていたというものが結構あった。そのことが今回の「羽鳥書店まつり」で出された本の質の高さを教えてくれている。何周か見て回るうちに何故自分は初日からここに来なかったのか、仕事を休んで来ていたら欲しい本を山と買えたのにという自分を責める言葉が頭の中をグルグルと駆け巡るようになって来たので切り上げてレジへ。

 前3冊が100円、後2冊が500円だった。


 古書往来座の瀬戸さん、南陀楼綾繁さんと少し話す。売られている本がキレイなのはほとんどが新刊で買われていることと段ボールに入れられて保管されていたためらしい。また、大量買いする人が多く、中には10万以上ひとりで買った人もいたとか。やっぱり、初日に来たかったな。


 帰り道、後楽園駅で下車し、食べ損ねていた昼食を食べに水道橋にある「アンチへブリンガン」に行ってみようと考えて歩き出す。以前、東京堂の畠中さんがこの店のカレーをオススメとして挙げていたことを思い出したのだ。以前に一度行ったことがあり、場所は見当がついているし、店の雰囲気もそのとき食べたパスタも好印象だったのでおいしいカレーが食べられるはずであったが、店の前にたどり着くと“closed”の札が。そうか土日休みの店だったのだ。確かにほとんど人気のない周辺を眺めながら納得しつつ、足を神保町へ向ける。

 三省堂の4階で『sumus』13号を入手。既に1冊持っているのでこれは保存用として。

 東京堂3階で大屋幸世大屋幸世叢刊1 日本近代文学小径―小資料あれこれ」(日本古書通信社)を買う。目次を見ると「白水社遺聞」、「河出書房版『現代日本小説大系』月報のことなど」、「昭和前期の総合雑誌」、「東京創元社の翻訳ミステリーと昭和の文学者たちなど」、「佐藤春夫『陣中の竪琴』と上林暁のことなど」といった興味深い項目が並ぶ。
 畠中さんとちょっとおしゃべり。


 日本特価書籍で出たばかりのこれを。

  • 平川祐弘「日本語は生きのびるか」(河出ブックス)

日本語は生きのびるか---米中日の文化史的三角関係 (河出ブックス)

日本語は生きのびるか---米中日の文化史的三角関係 (河出ブックス)


 帰りの車内では野口冨士男「作家の手」を読む。50ページにおよぶ「自伝抄『秋風三十年』」が読み応えあり。


 地元のTSUTAYAで前から気になっていた落語のCDを借りる。「柳家一門名演集1」。喬太郎、市馬、権太楼、さん喬がいっぺんに聴けるはうれしい。

「柳家一門 名演集」その1

「柳家一門 名演集」その1

 散髪して帰宅。


 みすず書房のホームページに“大人の本棚シリーズ”新刊が2冊載っている。待ち遠しい。