正、続、揃いました。



 今日も昼と夜の弁当支給日。

 もちろん、帰りに本屋で飯代本を買いました。
 工藤美代子「精霊の島 ラフカディオ・ハーンの生涯 ヨーロッパ編」(ランダムハウス講談社文庫)と高田里惠子「文学部をめぐる病い」(ちくま文庫)。前者は評伝三部作の2冊目。後者は昨年愛用の酒袋ブックカバーとともに東横線の座席に置き忘れて消えていったものの買い直し。


 そうそう、今日は職場にamazonから届いていた織田作之助夫婦善哉 完全版」(雄松堂)を持って帰ってきた。これは先日ETVで知った織田作未発表原稿「続夫婦善哉」を収録した本。番組を観ていたら読みたくなったため、その場で即ネット注文してしまったのだ。


 帰宅して、まずは正編「夫婦善哉」から読み出す。これを読むのはたぶん3回目くらいか。最初に読んだ大学生の時は、最後のぜんざいを食べるシーンのみしか印象に残らなかった。今読むと、ダメ亭主の柳吉としっかり者なのに亭主に何度もだまされる蝶子のシーソーゲームをしながら年を重ねていくところに何とも言えない哀愁を感じる。「続夫婦善哉」では、場所を九州の別府に移し、成功と失敗を重ねながらこの夫婦がまた年を重ねていく。大阪言葉と浪花の街が密接に結びついた正編の濃さには及ばないものの、レベルを下げずに書き切った感のあるいい続編だと思った。
 織田作はいい作家だな。技の太宰、力の安吾の方に世間の注目が集まりがちであるが、仕上がりのいい作品を書く腕は3人の中でも一番ではないか。もっと読まれていい作家のひとりですね。