デジタルを湯で戻す。


 朝、何の気なしに職場の置き傘を持ち帰ったままになっているのを見つけて持って出る。これが正解。朝の立ち仕事の時点で小雪がチラついてきたではないか。


 退勤して本屋へ。『東京人』3月号を買って『asta*』を貰う。

 駅ビルのうどん屋で夕食をとりながら、『asta*』をパラパラ。巌谷小波「こがね丸」を原作とした高野文子さんの紙工作が冒頭を飾る。紙工作も悪くないのだが、やはり高野さんの新作漫画を読みたいものだな。
 ページを先に進むと久世番子さんのコミックエッセイが載っていてなんだかもうけた感じ。
 そう言えば見開きページでポプラ文庫創刊の広告が。4月5日発売とある。ただし、どのような本が出るのかはまったく触れられていない。「古本道場」の文庫化なども期待したくなる。


 帰宅して、寒さが身にしみてしまったため風呂に入る。今日はチェット・ベイカーチェット・ベイカー・シングス」を聴きながら。スピーカーの付いたCDディスクマン型プレーヤーが出す音は、ドア下部の通気口から浴室内に入り湯気を縫うように反響している。この音がなんともいい味を出しているんだなあ。まるでデジタルの音をお湯で戻してアナログにしたみたいな感じ。ちょっとだけ早い「マイ・ファニー・バレンタイン」を楽しんだ。


 このところ、「あ〜あ、どこかへ行きたいな」という思いが胸の中で渦巻いている。また今日も「世界の車窓から」を観てしまう。画面に広がる緑と白と赤のコントラストがいい。