京阪旅行3

京阪旅行最終日。
ホテルの無料朝食サービスを初めて利用。4人掛けの席しかないので独りでは使いづらい。そそくさと済ます。
チェックアウトして京都駅へ。コインロッカーに大きなバッグを入れて身軽になる。駅前からバスで三条京阪に出て、そこから京阪電車出町柳へ。歩いて下鴨の会場に向かう。2度目なので均一台を中心に流すことにする。
赤尾照文堂の均一台(3冊500円)から。

森銑三」は集めている“シリーズ民間日本学者”の1冊。
その他佐野繁次郎装幀本を2冊。

それぞれ200円。前者は萩書房、後者はキクオ書店から。
雨が降ったりやんだりのはっきりしない天気。お店の人もシートを掛けたり、取ったりと忙しそう。見始めると切りがないので、気持ちを切り替えて会場を後にする。
京都市役所前駅で下車し、三月書房へ行く。やはり、その品揃えにうっとり。小沢書店の新刊割引本など魅力的な本がずらっと揃っている。前回もそうだったが欲しい本ばかりで逆に買えなくなってしまう。結局『酒とつまみ』7号を購入して店を後にする。店が遠ざかるに従って後悔の念が募ってくる。あれを買えばよかった、なぜあの本を買わなかったのかという心の声を振り切って三条京阪に戻る。ブックオフ三条駅ビル店へ。“ゴットハンド”山本善行さんの主戦場にまたやってきてしまった。前回は力みかえってしまったため1冊しか買えずじまい。今回は、肩の力を抜いて気楽に見て回る。その結果は……、1冊も買えませんでした。やっぱり山本さんは人間の域を超えてます。
歩いて二条通に向かい、中井書店と水明洞を見て回る。何も買えず。それから百万遍の京大前の古本屋街へ。予想していたことだが、下鴨の古本まつりのためかほとんど店を閉めていた。
進々堂に入り遅い昼食。カツカレーセットを食べる。食べながら、先程買った『酒とつまみ』を読む。南陀楼綾繁さんの「古本屋発、居酒屋行き」は五反野編。僕と南陀楼さんたちが四季書房でニアミスしたあの日の出来事が書かれている。この文章に書かれているように四季書房は味のある古本屋。東武伊勢崎線ご利用の際は足を伸ばす価値ありですよ。
続いてなぎら健壱さんのインタビューを読んでいたのだが、途中でやめる。どうしても笑いをこらえられず、声を出してしまいそうになるので。昔からジャズマンのほら話(ジョージ川口のほら話のすごさは小林信彦さんが何度も文章にしている)は有名だが、なぎらさんのはフォークシンガーのほら話か。代表作「鯉を散歩させる人」をはじめとするなぎらさんのほら話は、もはや話芸として完成していると言っていいのではないか。なぎらさんの語るジミー時田の酒豪話は、事実を下敷きにしているのであろうが、これはもうネタですよね、完全に。文章で読んでも面白いんだから、現場で直接聞いていた人はもっと大笑いしたんだろうな、うらやましい。
僕はなぎらさんの文章も大好きで、「下町小僧」、「日本フォーク私的大全」、「東京酒場漂流記」(すべてちくま文庫)などを愛読した。特に「下町小僧」は、解説の鹿島茂さんが指摘するように昭和30年代の東京で子供時代を送った人にとっての“生活感情”というものが克明に記されている第1級の資料だと思う。
京都駅へ戻り、お土産を買って、16:57発ののぞみ142号に乗り込む。3日間で購入した本を詰め込んだバッグはもの凄く重くなってしまい、肩にかけた紐とバッグを繋ぐ金具がキイキイと苦しそうな音を立てている。家に着くまでもってくれか不安になる。
車中で藤沢桓夫「大阪自叙伝」を読む。読みやすくて面白いので新横浜までの2時間で180ページほど進む。この中公文庫版の解説を書いているのは「大阪学文学編」の大谷晃一さん。なにげなくカバンに入れた2冊の本がこうして繋がっていく。これもまた読書の楽しみだ。
重いカバンを背負いながら家に帰り着く。
楽しい3日間だった。さあ、明日から仕事だ。