クレイジー・キャッツと大滝詠一

昨夜は、職場の研修旅行で熱海に1泊。
久しぶりにゆっくり温泉に入れたのでうれしい。
遅い時間に露天風呂に行ったら、誰もいなかったので歌を歌いながら、ゆっくりと湯につかる。極楽、極楽。
今朝は、6時に起きて、朝風呂。朝食後、同僚の車で、家まで送ってもらう。
家で洗濯をしながら1時間ほど昼寝をし、その後街に出る。本屋で雑誌を2冊。

『ロック画報』の特集が“クレイジーキャッツ”で、『レコード・コレクターズ』が“大滝詠一”である。この2冊が棚で並んでいたのを見て、普段買わない音楽雑誌を購入した。ともに関連のCDの発売に合わせた特集であるが、この名前が出てくると買わずにいられない。『ロック画報』にはCDが付録としてついており、そのなかにクレイジー・キャッツのレア音源が4曲収められている。中でも2曲目の「クレージーラスベガス〜ハロー・ラスベガスー金だ金だよ」は映画「クレージー黄金作戦」の休憩時間用に作られて使われずにお蔵入りしていた音源で、時間も一番長く、楽しめる。ラスベガスの大通りを封鎖して撮影したミュージカルシーンで有名なこの映画を観ていないだけに興味深い。
それにしても、植木等主演の無責任シリーズに代表されるクレイジー・キャッツの映画がほとんどDVD化されていないのが信じられない(アマゾンで検索しても「大冒険」ひとつだけである)。レンタルビデオ屋のビデオが続々と消えていっている現在、これらの映画を観るにはテレビでの放映を待つしかない状態なのだ。
このクレイジー映画における音楽の素晴らしさ、楽しさを一般的に広く認知させたのが大滝詠一氏である。映画の中のミュージカル場面を抜き出した傑作ビデオ「クレージーキャッツ・デラックス」の監修も行い、自分のラジオ番組でもクレイジーの特集を組むなどもしている。
大滝詠一氏の1975年のアルバム「ナイアガラ・ムーン」に収録されている「楽しい夜更かし」の歌詞に“真夜中のディスク・ジョッキー、特集はクレイジー・キャッツ”というフレーズが出てくる。すでに30年も前にクレイジー・ソングへの再評価を試みているのがすごい。クレイジーの映画が一世を風靡していたのは当時でさえ10年も前の事であったはずで、75年にはテレビで見ることも少なくなり、後輩のドリフターズに人気の点で抜かれていたと思う。その「ナイアガラ・ムーン」の30th Anniversary Editionが今月の21日に発売されるのを受けて、『レコード・コレクターズ』が特集を組んでいるが、大滝氏のロングインタビューが面白い。この人は、音楽から音楽を作るタイプの人で、スタジオにこもっての音作りに職人芸を見せる。だから、大滝詠一的ナイアガラソングは深化はすれども、進化はしない。悪い言い方をすれば偉大なるワンパターンである。例えば「ナイアガラ・ムーン」の中の「cider'73 '74'75」としてまとめられているCMソング集などその最たるもので、どんなに短い曲でも、すぐに大滝氏の作品である事がわかる。こんな人はあまりいない。「each time」以降、氏のニューアルバムはもう20年もリリースされる事なく、ひたすら旧作のメンテナンスやバージョンアップを繰り返している。それはそれで“らしい”のだが、「A LONG VACATION」、「each time」に続く3部作となるような新作の登場をどうしても夢見てしまう。

夜、「ナイアガラ・ムーン」などを聴きながら、先日買ったipod古今亭志ん朝師匠のCDをひたすら入れる。師匠の音源を全て持ち歩いて、好きな場所で聴けるなんてなんとういう贅沢だろう。それ以外にもジャズやボサノバなど500曲ほど入れてもまだ2Gしか使っていない。あと10倍ほど入るのだが、さて何を入れようか。もちろん、全20Gを使っても持っている全てのCDが入るわけではないので、何を入れないかが問題となる。CDの棚を前にしてあれこれと悩むのもまた楽しい。
NIAGARA MOON