陰日向に泣く。

今日は、職場でこの1年一緒に働いてきた同僚のお別れ会。笑いのセンスがあり、踊れて、字もうまいという得難い人材であったが、残念ながら職場が彼女を生かすことができなかった。己がマイナスの影響を与えなかったかと心痛む部分も感じながら、簡素な送別の会をやり終える。
退勤して地元のサブカル系古本屋へ。
100円均一から。

  • ヘレーン・ハンフ(編著)/江藤淳(訳)「チャリング・クロス街84番地」(中公文庫)
  • 野原一夫「小説家になるには」(ぺりかん社

後者は“なるにはBOOKS”という職業ガイドブックシリーズの1冊。新潮社の編集者であった野原さんが書いているので買ってみた。野坂昭如吉村昭両氏へのインタビューを巻頭におき、小説家の世界を扱った章では予想通り太宰治がたっぷり登場している。巻末のリストをみると当シリーズの「マンガ家になるには」を書いているのは呉智英氏。これはちょっと読んでみたい。
この他、中古CDの棚に落語物が安く出ていたので橘家圓蔵(7代目)を1枚と三遊亭圓生を2枚買う。
それから、新刊書店へ。

これは昨日ある番組で爆笑問題の太田氏が、「これに直木賞を与えなければ、日本の文学界はクソだ」と激賞していたのを聞き、興味がそそられたため。それと文春文庫の今年の解説目録が置かれていたが、何も買わずに貰うのが気まずかったこともある。
帰宅して、早速「陰日向に咲く」を読む。それぞれの作品の登場人物たちが交錯し合うかたちの連作短篇集。初めての創作としては確かにうまいと思う。ただ、先の発言ほどの傑作かと思うかどうかは好みの問題だろうな。個人的には「ピンボケな私」の主人公の女の子が恥ずかしくて自分のデジカメの記憶媒体を知らないと言えずに、当てずっぽうで買ってきた間違ったメモリースティックを無理矢理カメラに入れようと爪やすりで削るところがなんとも可笑しくて悲しくてよかった。たぶん、この人のネタはこういう細部にこだわるところに冴えをみせるタイプのものなのでしょうね。作品全体というより、こういった何とも言い難い気持ちにさせる細部がいくつか味わえたことで、よしとしたい。


今日もゲッツを聴く。

スタン・ゲッツ・クァルテッツ+4

スタン・ゲッツ・クァルテッツ+4

Birdland Sessions 1952

Birdland Sessions 1952

前者は、ワンホーンのカルテット。後者は、ギターのジミー・レイニーを加えたクインテッド。
前者をあえて陰と言えば、後者は陽か。そうしたのは、レイニーのギターがもたらす祝祭感のある絃の音色だ。