単行本が文庫になる間に。


  今日は午後から休日出勤の屋内仕事。寝室の障子越しに春の朝日が眩しく差し込み目覚まし時計よりも早くまぶたが開く。


 朝風呂でTBSラジオ「たまむすび」の2017年3月30日の放送を聴く。1年前にパーソナリティの赤江珠緒が産休に入る前最後の放送である。4月から彼女が復帰すると知り、聴き直してみたくなった。やはり、ピエール瀧赤江珠緒の掛合いは面白い。現在のピエール瀧と外山アナウンサーのコンビも大好きだし、やはりピエール瀧にハズレなしだなと思う。4月からも楽しみだ。

 4月の年度始めとなると色々と物事が変わって行く。「たまむすび」金曜日に出ている吉田豪ニッポン放送に移るというような噂を聞く。残念。自分自身の屋内仕事もあと一週間で終わる。一言では言い難い複雑な気持ち。うれしさと罪悪感とアレコレと。


 職場へ向かう途中に来た知人からのメールに「ローワン・アトキンソン主演の『メグレ』が面白かった」とあり我が意を得た思い。昨年、日本版のDVD発売を知り、すぐに購入して観た。あの「シャーロック」の英国BBC制作ドラマなのでクオリティは間違いなかろうと思っていたが、その通りだった。最初はコメディアン・アトキンソンがシリアスな演技をしていることと、フランスのパリで英語を話すメグレたちが動き回っていることに少し違和感を抱いたが、そのうち気にならなくなった。「シャーロック」のようなケレン味(これも大好きであるが)や本格的謎解きの醍醐味はないが、しっとりと落ち着いた警察ものの人間ドラマとして楽しめた。シーズンが2話しかないのが残念だったが、今日調べてみるとシーズン2として2話が制作・放映されたようで、日本でもこの4月にCSのAXNミステリーチャンネルで放送されるらしい。「アンナチュラル」ロスのこの気持ちを埋めるためにもなんとかして観てみたいものだと思う。


MAIGRET/メグレ DVD-BOX



 夕方、屋内仕事を終えて退勤。本屋へ。給料が入ったばかりなので、文庫をガバリと買う。

本で床は抜けるのか (中公文庫)
思考をあらわす「基礎日本語辞典」 (角川ソフィア文庫) [ 森田 良行 ]
いろごと辞典 (角川ソフィア文庫)
現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記 (角川ソフィア文庫)
ジャズの歴史物語 (角川ソフィア文庫)




 「本で床は抜けるのか」は単行本発売時に買っている。この本が出た3年前まで木造家屋の2階で20年ほど暮らしていた。その間、日々本が溜まっていき、本棚をあふれた本や雑誌が床に平積みとなり、それが仕事部屋から寝室へ、そしてダイニングキッチンへと浸食を続け、いつかその重みで階下に住む大家さん一家を押しつぶしてしまうのではないかという危惧を抱きながら生活していたことを思い出す。人殺しになる前にと今のマンションを買い、ダンボール数十箱分の本を古本屋に売り、スリムになった上で、ひと部屋を潰して書庫を作って生活空間に本が浸食しないようにと配慮して新生活を始めたのだが、単行本が文庫になる間に書庫の床には本が平積み、リビングの床の一部や寝室の枕元にも本は列をなし、この本を二度買うくらいに床を心配する状態となっている。さあ、どうしますか。


 それにしても最近の角川ソフィア文庫は頑張っているなと思う。「いろごと辞典」なんてよく文庫にしたものだ。「性」に関する言葉の辞典なので、眉をひそめる人もいるかもしれないが、言葉のバリエーションを楽しんだり、見立の技法を感心したり、豊かな本である。「鴨の腹」「甘露水」「恋相撲」「騒水」など直接書くのをちょっとはばかる言葉がこのように形を変えれば気軽に使える。まあ、どこで使うのかという問題はあるけれども。