私のたどりかた 本屋通いのいま・むかし。


 仕事帰りに改装なった本屋に行ってみた。



 2日間だけの期間で改装できるのだろうかと思っていたが、目に飛び込んできたのは店の左側のスペースだけ白いシートで覆われているこれまで見慣れた本屋の姿だった。ただ、左50坪分がなくなっているわけだから棚に入っている本の配置は結構変わっていた。これまで中央のスペースにデンと構えていた文芸書は一番右奥の壁側に移動させられ、元からあった哲学などの人文書の棚と合体させられている。明らかに文芸書の量は以前より減っている印象だ。このスペースに置かれていた自己啓発やビジネス書はなくなったのかと思ったらその奥にこれまで通りの売り場面積を確保していた。このことから考えると文芸書よりビジネス・自己啓発本の方がこの店では売れているのだ。文庫の棚はほぼ以前の面積を死守しているが、新書は明らかにスペースを狭められていた。新しい新書シリーズが増え続ける中、それに呼応して売り場面積を拡大してきていた新書コーナーもそれに見合う売り上げを実現できていないということなのか。雑誌、コミックス、学参は以前のままの場所に以前の姿でそこにあった。全体としては以前と同じレイアウトが残っている分、その棚に挿された本の種類が違うことに脳が混乱してしまい途惑う自分がいる。まだ、この店を気持ちよく回遊するルートが見出せない。


 そんな迷い子のような気持ちを抱きつつ、改装祝いに2冊購入。

  • 小沢信男「私のつづりかた 銀座育ちのいま・むかし」(筑摩書房
  • 岡崎武志「古本道入門 買うたのしみ・売るよろこび」(中公文庫)

 共に発売を知ってはいたがこの間の本屋休業で買えていなかったもの。両者とも題名及び副題の漢字とひらがなの配分に意識をしているなあと思う。戦争に向かって行く時代を背景とした銀座の姿や古書並びに古書業界について硬く書こうと思えばいくらでも硬くなるところを柔らかく読みやすく書こうという著者たちの姿勢が感じられる。