興味本位 英和中辞典。

 ゾッとするような冷たい雨が降っている中を退勤。

 本屋へ。すると毎日料理の棚で探していた本が今日はあった。

  • 土井善晴「一汁一菜でよいという提案」(グラフィック社)


一汁一菜でよいという提案

一汁一菜でよいという提案


 
 土井善晴ファンとしては新刊が出たとなれば見逃せない。文章の中にちりばめられた料理の写真に写真家の名前が見当たらないということは著者本人が撮っているのかな。白飯の入った茶碗と汁物の入った椀のうまそうな写真がまたよい。


 帰宅して宅配ボックスに届いていた物をピックアップ。中身はこれ。

熟語本位 英和中辞典 新版 CD-ROM付

熟語本位 英和中辞典 新版 CD-ROM付



 創刊から100年のこの辞書の新版がCD-ROM付きで出ると知って必ず手に入れようと思っていた。地元の書店には入らないだろうと予測できたこととたぶんその値段から考えて大判になっていて重いだろうと判断し、ネット書店に注文していたのだ。斎藤秀三郎と「熟語本位 英和中辞典」の存在を知ったのは2005年に出た斎藤兆史「英語達人列伝」(中公新書)。この面白い英語に関する日本人の怪物列伝の中でも斎藤秀三郎はひときわ印象に残り、そこで知ったとても面白い彼の英和辞典を読後すぐに購入。それが1997年発行41刷であった「熟語本位 英和中辞典 新増補版」(岩波書店)であった。故柳瀬尚紀氏も称揚していたこの辞書はパラパラめくっていてもその訳語の面白さが伝わってくるのだが、いかんせん組版が古いのか文字が滲んだように見えて少し読みにくかった。今回の新版はすべて版を組み直したとあり、その組版・印刷は“精興社”。本のサイズも大きくなり、本文は格段に読みやすくなった。そして、全文検索可能で旧版面も入ったCD-ROMが付いている。自分のPCに入れて使えるのだ。

 今、自分で使えるのだと書きながら、「いつ使うのだ?」と疑問を感じる。国文学科を出て、英語に関係のない仕事をしている人間がどうして100年前の英和辞書が必要なのか。もちろん、現実的な意味で必要ではない。しかし、趣味的・嗜好的な意味ではやっぱり持っていたいのである。日常的に使いもしないのにこの値段の物を買うのかとあきれられるかもしれない。英語を真剣に学ぶ者が本当の意味で愛で味わえる名著を使いこなせもしないのに買うなんて単なる興味本位ではないかと叱られるかもしれない。でも、仕方ない。そう、だって興味本位なんだから。興味があるんだから。持ってるだけでうれしいんだから。だから、今こうして手の中にある。