昔の名前で晴れてます。


 今年も1年に一度訪れる海辺の街での野外仕事の日が来た。

 雨が心配されたが、やはり元“体育の日”、晴れの特異日であるだけになんとかもってくれた。

 曇りがちの涼しい天気がいい方に影響して、心配していた仕事の方も予想以上の結果を残せた。よしよし。


 この海辺の駅に来たときに必ず駅前の本屋に寄ることにしている。ところが、店はシャッターが下りている。高齢の夫婦がやっている店だけについに店を閉めたのかと思う。シャッターには張紙があり、駅前の再開発工事のため近くの場所に移転した旨が書かれていたので、ほっとする。


 張紙にあった地図をたよりにその場所へ行くとそこは昨年にはなかった新しい商店街で、長屋のような真四角な長方形の建物に店が並んで入っていた。駅前にあった商店は軒並みここへ引っ越してきたらしい。お目当ての本屋もそこにあった。その真新しい建物が店の記憶に不似合いなのが残念だが、レジ奥におばあさんの元気な姿が見えたのでよしとする。



 又吉直樹「火花」と羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」の芥川賞受賞作2作を掲載した『文藝春秋』9月号に昭和2年9月の“芥川龍之介追悼號”が付いた特装版ムック。今、芥川龍之介の作品をめぐるミステリーである北村薫「六の宮の姫君」(創元推理文庫)を読んでいるので芥川の追悼号が付属しているこのムックを探していたのだが、地元の本屋ではすでに売り切れてしまい手に入らなかったのだ。この店では運良く売れ残っていてくれたらしい。店内を見回すと棚の文庫はみな真新しい背を見せて並んでいるが、単行本は前の店の時と同じ日に焼けた姿で並んでいる。前の店の雰囲気をそこに感じることができてうれしい。来年もまた来よう。




 野外仕事の荷物を抱えて職場に戻り、仕事をいくつかこなして夕方退勤。


 本屋へ。“まだ行くの、あなたも好きねぇ”という感じ。そうですね、本屋が好きなんです。



 とりあえず、堀江敏幸&阿部公彦は名前買いをすることにしている。「幼さ」をキーワードにして文学を語った文芸批評エッセイ。面白そう。



 野外仕事の重い鞄を背負いながら、自宅への坂道を登る。糖質制限と歩くことで体重は72キロまで落ちた。ただ、内蔵脂肪率はまだ二桁。一桁になるまでとりあえず歩くのだ。