寒のもどりと呼びたくなるような肌寒い朝。家のドアを開けて出勤しようとしたら、玄関前のコンクリートの上に桜の花びらが速水もこみちが手づかみで振りかける胡椒のように雑然と落ちていた。
冷たい風の中を野外仕事。職場周辺の桜も半分近く花を散らしてしまっている。歩道の端にも落ちた花びらが溜まっている。重なっているせいなのか、見上げる枝の花よりもピンク色がしっかりと出ていてきれいに見える。
昼過ぎに屋内に戻り、昼食をとった後、2時間ほどデスクワークをして退勤する。
電車に乗って神保町に向かう。目的は本ではなく、4月から本格的に始まる野外仕事のシーズンに備えて仕事着を新調に行くのだ。仕事着を売っている大型店は都内にはあちこちあるけれども、折角行くのなら近くに神保町があった方がいいに決まってる。だから毎年ここに買いにくることになるんだよな。
それに春になると自然に神保町界隈に足を向けたくなる。たぶん、中学時代に繰り返し聴いた小椋佳「春なんだなあ」の影響だろうと思う。歌詞に「駿河台一丁目」が出てくるようにこの歌の舞台は神保町周辺だから。
30分ほどあれこれ店内を行き来して、セール品やら新作やらを取り混ぜて4着ほど仕事着を購入。
服の入った大きめのビニール袋を抱えながら今度は本屋巡り。今日は本メインではないのでサッと流す。
東京堂で。
- 松田青子「スタッキング可能」(河出書房新社)
- 作者: 松田青子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/01/18
- メディア: 単行本
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サイン本だった。松田さんの名前を知ったのは休刊してしまった『エルマガジン』だった。この雑誌で何度もその名前を目にしていた。確か以前はブログをやられていたはずで、ちょこちょこブログも覗いていた記憶がある。まだ読んでもいないのにどこか懐かしさを感じている自分に気づく。
三省堂で。
- 『フリースタイル』22号
欠かさず買っているこの雑誌の最新号が出ていた。表紙にも桜。巻頭の「one two three」という“おすすめ紹介”コラムコーナーで3人が近藤ようこ「戦争と一人の女」を挙げていた。さもありなん、名作だもの。
帰りの電車はiPodで古今亭志ん朝「唐茄子屋政談」を聴きながら。本を読むと寝てしまい、本を床に落として乗客を驚かしてしまうから。春は眠いのだ。
帰宅して花粉対策用のマスクを外す。木曜日の出張野外仕事で一日初夏のような強い陽射しに照らされた結果がマスク型の日焼け痕として顔にクッキリ残っている。恥ずかしい。「唐茄子屋政談」の若旦那は勘当すると脅す親族に「お天道様と米の飯は付いて回ってますから」と答えていたが、確かに僕の顔にはお天道様が付いて回っているよ。とほほ。