今日は職場の臨時休業。僕も休みのはずだった。しかし、雪は降る、客は来る、人が要るということで休日返上で呼び出されて職場へ。
思っていたほどの雪にならず雪かきはさせられなかったが、暖房のない室内で午前中受付業務を命じられる。
来客は昼で途絶え、店屋物のカツ丼をお駄賃に出されてお役御免となる。食べさせてもらったのにその食べ物に文句を言うのは申し訳ないのだが、子どもの頃からのカツ丼好きだから、ついついカツ丼には高みを求めてしまう。昔から馴染みの深いカツ丼というヤツはドンブリにもられた飯をカツ煮で覆ったもののはずであるが、今日のカツ丼はカツとカツの間に路地のような隙間が空き、そこから白米がハズカシゲもなく顔をのぞかせているではないか。それを覆う卵の影もない。「こんなのカツ丼じゃない」という言葉を発泡スチロールの容器に入った味噌汁で飲み込んで退勤する。
さあ、雪まじりの雨は降っているが晴れて自由の身になった。寝不足の体を休めに家に戻るかとも思ったが、『みすず』の読書アンケート特集号が出ていたことを思い出し、それを求めに神保町へと向かうことにする。
このところ一年で一番神経の使う仕事が続く時期に入っており、風邪やインフルエンザなどで仕事を休むわけにはいかない状況が続いている。そのため、先月下旬から職場と自宅の往復以外の外出は極力避け、マスク着用手洗い励行で日々過ごしている。通勤途中の本屋に立ち寄るのが唯一の寄り道というような生活をしていてストレスが溜まらない訳がない。今日は神保町で本をドカ買いして思い切りストレス発散してやろうと決めた。
神保町到着。まずは岩波ブックセンターに入る。『みすず』読書アンケート特集号といったらこの店だ。数年前まで神保町であってもこの号が確実に手に入るのはこの店だけだった。だから今でもここで買うのが当たり前になってしまっている。もちろん、置いてありました。
- 『みすず』1/2月号(読書アンケート特集)
レジで『図書』2月号を貰った。
とりあえず来神の目的は果たしたのであとはいつものコースで東京堂へ。
- 寺島靖国「JAZZ偏愛主義」(DU文庫)
JAZZ偏愛主義: ジャズの新しい聴き方・愛で方 (DU文庫)
- 作者: 寺島靖国
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2013/01/25
- メディア: 文庫
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先日NEGIさんのツイートで教えてもらった寺島本の新刊を購入。「JAZZ雑文集」に続くディスクユニオンからの第二弾だ。この表紙、寺島本らしいな。
続いて三省堂へ。4階を徘徊していると、最近大判の画集が刊行された山口晃コーナーがあり、そこに前から欲しかったこれも置いてあった。
- 作者: 山口晃
- 出版社/メーカー: 羽鳥書店
- 発売日: 2009/08/01
- メディア: 単行本
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以前に東京大学出版会のPR誌『UP』に連載されていた「すずしろ日記」を偶然読んでこのエッセー漫画がすぐ好きになり、まとめて読んでみたいと思っていたのだが、気がつけば刊行から3年半以上経ってしまった。ちょっと遅くなったが無事買うことができた。かなり戯画化されているのだろうが奥さんのキャラがとてもいいんだよな。
2階に下りてこれも買う。
- 若田部昌澄「もうダマされないための経済学講義」(光文社新書)
- 作者: 若田部昌澄
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/09/14
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この本は「みんなで決めた『安心』のかたち」(亜紀書房)の編集者である柳瀬徹さんが手がけた本で、読んでみたいと思っていたのだが昨年9月に出たこの新書はすでに地元の本屋の棚からはなくなっていたためここで探してみたというわけ。
レジ横の棚から『scripta』26号を貰う。
買うもの買ったらいつもの伯刺西爾。神田ブレンドを飲みながら『みすず』のページをめくる。この至福のひととき。気になる本としては水村美苗「母の遺産ー新聞小説」(中央公論新社)を挙げている人が目につく。僕も新刊ですぐ買って読みはじめて途中で忙しくなりそのままになってしまっている読みかけ本だ。読んだところまででも面白かったが、これを機会に最後まで読んでみたくなった。
雪はほぼ雨に変っていたが、また雪になるかも知れず、交通機関が止まる可能性がないともいえないので、あまり長居せずに帰途につく。
帰りの電車でもらって来た『図書』、『scripta』に目を通す。
『図書』をめくりながら、『みすず』でも何度か名前が挙がっていた先日他界した丸谷才一のエッセイが『図書』で連載されていたことを思い出す。あの連載は本にならないのかと思いつつ、巻末の2月の新刊案内を見ていたら丸谷才一「無地のネクタイ」15日発売と出ていた。
『scripta』のお目当ては木皿泉「ぱくりぱくられし」の第3回。読後、共に病を持つこの夫婦脚本家のご両人の作品をもっと観てみたいと改めて思う。生活に困らない程度にマイペースでいいから。