猫と白鳥。

 今日から職場は年間を通じて一番大変な時期に突入する。インフルエンザにかかって仕事を休むなんて訳にはいかないので、防菌スプレーをかけたマスク装着で出勤する。


 いつもは大勢の人間でごった返す職場も、“関係者以外立ち入り禁止”の看板が立ち、ピリピリとした雰囲気に包まれる。胃の痛くなる時期に突入したという訳だ。


 その代わり昼食には弁当が支給される。これが日によって違うのでどんな弁当が来るのかちょっと楽しみ。今日のは可もなく不可もなしといったところ。次に期待しよう。



 仕事自体はいつもより早く終わったので、隣町にある知人のパン屋まで歩く。知人の姿は見えず。バゲットやラスクを買って店を後にする。


 あゆみbooksで本を買ってから帰る。


ナンシー関の名言・予言
私は猫ストーカー - 完全版 (中公文庫) [ 浅生ハルミン ]
文壇五十年 (中公文庫) (文庫) / 正宗白鳥/著



 ナンシー本は、これまでの文章から現在の状況を言い当てているようなものを選んで再編集した企画本。このところの“ナンシー関を思い出せ”的な流れに乗りたいわけではないのだが、ナンシー関連の新刊が出るとなるとやはり買ってしまうのだ。「だって〈単行本初収録コラム入り〉と帯に書いてあるし」なんて言い訳しながら。


 ハルミンさんの本と白鳥本は共に中公文庫の新刊。それにしても今月の中公文庫はすごすぎる。買うのを2冊におさえるのに苦痛さえ覚えた。なにせ他が武田泰淳「淫女と豪傑」、深沢七郎「庶民列伝」、嵐山光三郎「桃仙人 小説深沢七郎」、山本益博「名人芸の黄金時代 桂文楽の世界」、石井洋二郎「告白的読書論」、秦郁彦漱石文学のモデルたち」、ドナルド・キーン「日本文学史 古代・中世篇一」というラインナップなのだから。毎月こんな感じで出されたらうれし過ぎて何も買えなくなりそうだ。



 帰宅して買ってきたバゲットをトースターで焼いてカレーうどんと一緒に食べるというよくわからない夕食をとってから“わめぞTV”を観る。五十嵐泰正+「安全・安心の柏産柏消」円卓会議「みんなで決めた『安心』のかたち――ポスト3.11の『地産地消』をさがした柏の一年』(亜紀書房)の担当編集者・柳瀬徹さんの話を古書現世の向井さんが聞く。原発事故の影響を受けた柏市の農家をめぐる人々の活動を記録した本を真ん中において話は書店員・編集者としての柳瀬さんの姿勢から向井さんの考える古本屋や古書市のあり方の話にまで広がって行く。現在“内輪うけ”の規模が何万人という単位になっているという指摘は面白く刺激的だ。大好きな「雨傘」も堪能する。武藤良子画伯と青聲社さんによる時事放談。今どこをさがしてもこれ以上面白い時事放談はないだろうな。しばらくは「麦を食え」という言葉が頭から離れないと思う。最後に退屈くんの「退屈なブランチ」。何を言いたいのかはよく分からないが、この本を薦めたいという気持ちだけはよく分かる不思議なコーナー。オススメのトーマス・トウェイツ「ゼロからトースターを作ってみた」(飛鳥新社)はちょっと読んでみたいなとさっきまでバゲットを焼いていた20年近く使っているトースターを眺めながら思う。


 まずは、「みんなで決めた『安心』のかたち――ポスト3.11の『地産地消』をさがした柏の一年』(亜紀書房)を読もうとすぐにアマゾンへ注文する。もちろん本の内容にも興味があるのだが、柏という街にもちょっとした思い出がある。学生時代に好きだった髪の長い女の子が柏に住んでおり、映画や食事に行った帰りに頼まれた訳でもないのに毎回柏駅まで彼女を送って行っていた。ただ、駅の外に出たことは数えるほどしかなかった。なぜなら、彼女を改札口まで見送るとそのまま反対方向の電車に乗り込み北千住まで戻ってそこから埼玉の実家まで帰らなければならなかったから時間がなかったのだ。まあ、若かったとしか言いようがないよね。


みんなで決めた「安心」のかたち――ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年

みんなで決めた「安心」のかたち――ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年