生島、文庫でよめるってよ。


 今日も朝から野外仕事。とにかく風が冷たい。ネックウォーマーやユニクロのウォームアップパンツなどで厳重に武装して北風に立ち向かう。


 午後、野外仕事着からスーツに着替え、都内へ出張。今日は親会社的な所でとある講演会があり、子会社的な我が職場にも招集命令が下ったというわけ。主旨はわかるが内容は退屈といったプロレタリア文学のような講演会を2時間聴き、夕方には解放される。


 気の進まない出張に来て、このまま帰ったのではつまらないから神保町経由で帰宅することにする。


 いつものようにすずらん通り近くの地下鉄出口を出ると、朝と変らぬ冷たい風が吹き付けてくる。早く暖かい本屋に入って本を見たいと足を速める。いつものように東京堂三省堂を廻り、地元で手に入らなかった2冊を購入。


余りの風

余りの風

書物狩人 (講談社文庫)

書物狩人 (講談社文庫)



 堀江本は「書かれる手」(平凡社ライブラリー)に続く批評的散文集。白いカバー、精興社の文字、う〜ん、みすず書房らしいなあという本。冷たい北風はごめんだが、こんな「風」ならいつでもOK!


 赤城本は年末の毎日新聞書評欄で近代日本史研究者の加藤陽子氏が“2012年この3冊”で〈赤城毅の書物狩人シリーズは本好きには堪(たま)らない。〉としてこの“書物狩人”シリーズ最新刊を挙げていて興味を持った。それならまずは第一作を読んでみようというわけだ。


 古本屋街もそろそろ店じまいの様子を見せているし、やっぱり風は冷たいしで早々に伯刺西爾へと逃げ込む。ブレンドとコニャックポンムのケーキセット。期間限定のこのケーキがうまい。甘くなった口をコーヒーで中和しながら「余りの風」のあとがきを読む。あとがきのあとにはちゃんと人名索引が付いているのがうれしい。


 みすず書房と言えば、昨日HPで近刊案内を見ていたら、2月8日刊行予定で“大人の本棚”シリーズが2冊並んでいた。

  • 田中眞澄「読書好日(仮)」


 特に昨年12月に亡くなった田中眞澄さんの本が出るのがうれしい。これは『みすず』で連載していた「ふるほん行脚」の単行本未収録分が入っているのだろうか。たぶんそれだけでは分量が少ないから他の本に関する文章も収録されることになるのだろうか。刊行が待ち遠しい。




 伯刺西爾を出てさぼうる2に行き、ナポリタンで夕食。



 地下鉄に乗って帰る。車内では生島淳箱根駅伝 新ブランド校の時代」(幻冬舎新書)を読む。1年前に出た「箱根駅伝」(幻冬舎新書)の続編。正月に実家で母親と箱根駅伝中継を観るという恒例行事に備えての予習。毎年箱根駅伝を観るという人にはこの2冊はおすすめ。今の大学駅伝の勢力図やその変遷などがよく分かる。そして大学の監督たちが何を考えて何をしているのかがうかがえるインタビューも面白い。ただ、これを読む限り、母校は来年もパッとしなさそう。



箱根駅伝 (幻冬舎新書)

箱根駅伝 (幻冬舎新書)

箱根駅伝 新ブランド校の時代 (幻冬舎新書)

箱根駅伝 新ブランド校の時代 (幻冬舎新書)




 帰宅してネットで文庫の近刊情報をチェックしてみると2月の講談社文芸文庫のリストが載っていた。

  • 丸谷才一編「花柳小説傑作選」  
  • 福永 武彦「死の島(上)」  
  • 生島 遼一「春夏秋冬」


 「花柳小説傑作選」は丸谷才一追悼企画なんだろうな。「春夏秋冬」は文芸文庫のお家芸“学者のエッセイ”シリーズに連なる1冊。1979年に冬樹社から出たものの文庫化らしい。検索してみると2009年2月2日の「古本ソムリエの日記」で山本善行さんが、


《電車で、生島遼一『春夏秋冬』を読むが、やっぱりいいエッセイだ。去年の百万遍で買ったのだが、サインがあるも裸本だった。500円だったのが3冊500円になって買うことができた一冊。これは1000円でも2000円でも買うべき本であった。》


 と書いていた。これは読まなくてはという気になる。「生島」を読み終えた日に、また新たに読むべき「生島」を見つけてしまった。