フォー・クワイエット・リーダーズ。


 時折吹く強い風にあわあわしながら過ごす。


 仕事の忙しさに心と体が置いて行かれるような疾走感の毎日。疾走感なんて言うとかっこ良く聞こえるがただ何もできずぼうっとしてしまう時間が多いということに過ぎない。


 久しぶりに夕方には退勤する。


 ここ数日は遅くなり過ぎて本屋に寄れなかったり、閉店時間間際のためゆっくり棚を見ることもできなかったため、のんびり本屋を歩く。


椿説泰西浪曼派文学談義 (平凡社ライブラリー)

椿説泰西浪曼派文学談義 (平凡社ライブラリー)

書斎のポ・ト・フ (ちくま文庫)

書斎のポ・ト・フ (ちくま文庫)


 楽しみにしていた新刊を2冊手に入れる。「書斎のポ・ト・フ」のカバーは林哲夫さんの手になる本の絵。ただでさえ“本の気”を感じさせる3人の鼎談にまたいっそうの“本気度”を高めている。


 お気に入りの2冊を手に店内を回る。ロンドン五輪が近いせいか、店内の至る所に英国(またはロンドン)関係のものが並んでいる。女性雑誌のロンドン特集から英国執事のムック本まで。英国(またはロンドン)好きの人間なので、うれしい限り。中にはこの時期でなければ出せないからと無理矢理自分の出したい英国ものを企画会議で通してしまったのではないかという感じのものもある。それもまた楽しい。もちろんそのほとんどは手に取るだけで買わないのだが、それでもあとひと月ほどで終わるであろう英国祭を余すことなく味わいたい。



 本屋を出て駅ビルのうどん屋で夕食。


 「書斎のポ・ト・フ」をつまみ読みしながら日替わり定食の来るのを待つ。となりは母娘の二人連れ。娘は今日の学校での出来事をチクイチ詳細に話して行く。その早口で大きな声が耳にどんどん入ってきて、ページの上の鼎談の声にかぶってくる。本の中の饒舌はいっこうに構わないのだが、隣のおしゃべりにはちょっと開高閉口という感じ。



 そんなわけで(どんなわけだ)、帰宅してこんなタイトルのピアノトリオアルバムを聴く。

フォー・クワイエット・ラヴァーズ

フォー・クワイエット・ラヴァーズ