これからも人生。


 今週末も休日出張の野外仕事。


 家を出てバスに乗ったところでサイフを忘れてきたことに気づく。幸が不幸か携帯がモバイルスイカになっているため仕事場に行くのには困らない。最近のコンビニはスイカ対応レジになっているので食料も確保できるとなればこれから家に戻る気はおきない。1日サイフなしで過ごす。



 1日仕事なのだが、時折1時間ほどの空き時間がぽっかりできる。その時は仕事現場近くの休憩所に行って本を読む。今日の携帯本は坪内祐三「大相撲新世紀2005-2011」(PHP新書)。相撲に関する興味深い記事があれこれあるが、それをおいておくと弁松の弁当と国技館のやきとりがやたら食べたくなる本ですね。酒が好きなら神保町すずらん通りの“浅野屋”で梅酒のソーダ割りを飲みたくもなるのだろうけど。


 2度目の空き時間は疲労から来る眠気で本が読めなくなったため、iPodに入れておいたNHKFM小西康陽 これからの人生。」(3月28日OA)を聴く。アニタ・カーの曲をBGMに小西康陽作詞の石坂浩二朗読という構成。これが疲れた心に染み込んでくるいい放送だなあ。石坂さんの声がまずいい。小西さんの詞に登場する人物は若者ではなく、僕と同じ中年男だと思われるからなおさらだ。聴きながら目を閉じ、懐かしい人のことをあれこれと思い出す。気がつけば耳にイアフォンをしながら目を閉じ、遠くを見つめるように少し仰角に顔を向け、じっと聴き入っていた。端から見ればまるで昔のウォークマンのCMのサルのように見えただろう。


 仕事を終え、帰宅の途につく。サイフがないので本屋で本を買えない。欲しい夏葉社の新刊や数冊のミニコミを手に入れることもできない。おとなしく家に帰って昨日買ってきたパンを食べて寝る。明日からも人生は続く。