今日も師走は“イッチニ、イッチニ”と掛け声をかけながら走っていく。
この一週間くらい風邪気味でそれをだましだましながら日々の勤めを果たしている。あまり風邪薬など飲みたくないのだが、鼻をかんでばかりいては仕事にならないのでとりあえずパブロンを飲んで風邪を先延ばしにしておく。
朝スタバでサーモスのマグに入れてもらったコーヒーも飲み尽くしてしまい、冷蔵庫で冷しておいた大好きな独逸のクリームチーズ入りのケーキも食べ終わり、薬が切れはじめてぼんやりと熱っぽく咳き込む夕方が訪れると気力と体力のガス欠状態ととなったので退勤する。
本屋へ。
- 作者: 庄野潤三
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/12/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 金子拓
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2009/10/01
- メディア: 単行本
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書店に並ぶのを心待ちにしていた2冊を購入。
庄野本はチャールズ・ラムゆかりの地を訪ねる英国紀行文。庄野潤三とロンドンとくればやはり読みたくなる。僕が最後にロンドンへ行ってからもう10年になる。また行きたいと思うが、いつ行けるか分からないからロンドン本を読んで無聊を慰めるのだ。
「記憶の歴史学」はブログ「新・読前読後」の金子拓さんの本。金子さんの著書を手にするのは「織田信長という歴史」(勉誠出版)に続いて2冊目。前著でも扉に堀江敏幸「河岸忘日抄」からの引用があって驚いたのだが、今回も川本三郎さんの対談からの引用から始まっている。後の参考文献を見ても川本さんの本が9冊も並んでいる。その他にも歴史の文献に混じって丸谷才一や紀田順一郎という名前が散見し、中世の歴史には門外漢の僕でも取っ付きやすそうな雰囲気を感じさせてくれる。本能寺の変や細川ガラシャ自害事件が人々の「記憶」からどのように「歴史」へと変貌していくのかを辿っていくらしい。「へうげもの」の愛読者としても興味深いな。
帰宅して独逸のバケットをかじりながらパスタを食べ、録画しておいた「坂の上の雲」でロシア兵と日本兵の二百三高地での激闘を観ながら、ロンドンにまた行きたいなあと考える。
10年前の師走に僕はロンドンにいた。そのロンドンは僕の中で記憶の細部がどんどん薄れていっている。それに伴って自分に都合のいい美しい魅力に満ちたものに変容していっているような気がする。僕の好きなロンドンはもっとダサくてもっさりしていて面白いところのはずだ。自分の歴史の1ページとして閉じこめてしまう前にもう一度新鮮な記憶としてのロンドンを味わいたいものだ。