真打ち登場。





 今、ann sallyのニューアルバム『fo:rest』(SONG X JAZZ)を聴きながら昨日のライブのことを思い出している。


 昨日は、開演に絶対遅れることのないように早めに職場を出て都立大学へ。確実に退勤するために昼食抜きの駆け足で仕事をこなしたため、駅から会場へ向かう途中のモスバーガーに入る。期間限定のホカッチャコロッケバーガーとジンジャエールで腹を満たし終えてみると思いのほか開演までの時間あるのでしばし読書にいそしむ。


 今日の携帯本はジェイン・オースティンマンスフィールド・パーク」(ちくま文庫)。先月の新刊だ。ちくま文庫のオースティンは暮れに出ることが多く、確か「エマ」も年の瀬に読んだ記憶がある。巻頭の数ページを読めばそこにはいつものオースティンワールドがあり、利己的な親戚、美人だけれど頭の弱い従姉、優しくヒロインに救いの手を差し伸べる従兄、そしてとびきりの美人ではないが知性があり魅力にあふれたヒロインが登場し、結婚という幸せに向かって行くストーリーが始まる。気がつくと20分ほど読みふけっていた。


マンスフィールド・パーク (ちくま文庫)

マンスフィールド・パーク (ちくま文庫)


 モスバーガーを出て坂道を上り、めぐろパーシモンホールに出る。ホールに入るとニューアルバムが販売されており、早速購入する。まだ、ショップでは買えず、このライブ会場での販売が初売りであると聞いていたのでそのためにもこのライブは来なくてならなかったのだ。


 チケットを確認し、自分の席へ。隣に座る岡崎武志さんはまだ来ていない。そのままトイレに行って戻ってくると岡崎さんが座っていた。今日は五反田の古書会館や武蔵小山を回ってきたそうだ。僕の職場の話などをしているうちに開演時間となる。すると登場してきたのはアン嬢ではなく、別の女性。僕が「おや?」と思うのと岡崎さんが「誰や」というのがほぼ同時だった。後で分かったのだが(というか告知の説明を読み落としていたのだが)、この女性はアン嬢のニューアルバムのレーベルから時を同じくしてカルロス・ジョビン曲集アルバムを出したボーカリストで、このライブのオープニングアクトで登場したということらしい。アン嬢を聴きにきた人びとを前に歌うという完全アウェー状態に同情しつつも、彼女の歌が1時間近く続くとさすがに禁断症状が出てきてしまう。はやくあの歌声を聴きたいという思いが募る。隣で岡崎さんがついた溜め息も何度か聞こえてきた(これが彼女のためだけではなかったことが岡崎さんのブログでわかった)。


 20分の休憩を挟んで真打ち登場。腹ぺこ状態でごちそうを迎えることになった。白い衣装を纏ったアン嬢がステージに現れ、新しいアルバムに収録されている曲を中心に1時間余り至福の時を過ごす。トークの時の声を聞いていると少しかすれた鼻声なので、けっして万全の状態ではないと思われるのだが、一旦歌になるとそんなことは微塵も感じさせない声に圧倒される。2年前の細野晴臣とのジョイントコンサートでも歌った「ガラスの林檎」を3曲目くらいに歌ったのだが、そこで自然と鳥肌が立った。彼女の口にする言葉の一つ一つが香しく頬をなでていくのだ。「言葉」というものがあってよかった、日本語があってよかったと思ってしまう。そんな力が彼女の歌にはある。


 1時間はあっという間にたち、彼女とメンバーは袖に消える。もちろん、アンコールの拍手。そして再登場。アンコールは時節柄の「ホワイト・クリスマス」とおなじみ「蘇州夜曲」。彼女にとっての「蘇州夜曲」はアート・ブレーキーの「モーニン」、ジャッキー・マクリーンの「レフト・アローン」のようなもの。この1曲のためだけにチケット代を払っても惜しくないと思わせるすばらしい歌声。


 ホールを後にし、都立大学駅近くの魚民で岡崎さんと鍋をつつく。話題は岡崎さんが企画している「オカトーーク」の“ブックオフ芸人”。「私がブックオフで見つけたこの1冊」、「私が見たブックオフ店員」、「私が見たブックオフせどり」、「教えたくない穴場ブックオフ」などなど酔いも手伝って項目もあれこれと上がる。


 岡崎さんと別れ、帰宅。枕元で『fo:rest』を流しながら就寝。



 今日は休日出勤で職場へ行き、午後3時過ぎに退勤して本屋へ。

 不忍ブックストリームで話題に上がっているこの本を発見する。

ニッポン・スウィングタイム

ニッポン・スウィングタイム

 ジャズが好きな者として見過ごすことのできない1冊。


 帰宅して録画しておいた「週刊ブックレビュー」を観る。岡崎さんが「昔日の客」などを紹介した回だ。3人のレビュアーが語り合う本として近代ナリコさんの「京おんなモダン・ストリーズ」が取り上げられていた。他の2人が取り上げていた本よりもこの岡崎さんセレクト本が一番長く話題になっていたのではないか。この本も読んでみたいな。

京おんな モダン・ストーリーズ

京おんな モダン・ストーリーズ


 夕食後「坂の上の雲」第8回を観た。これから「情熱大陸」で柳家三三の回を観るつもり。