読後の最後の芝生。


 日曜日のみちくさ市で買った豆本ストラップを携帯電話につけて出勤する。


 豆本には薄田泣菫「こさめ」が書かれていた。


  今日も小雨が降るさうな。


 と始まる詩とは異なり、今日は肌寒いくらいの晴天だった。



  夕方の野外仕事の寒さが身体にしみた。貰い物のティファールのコピー商品のような電気ポットでお湯を沸かし、カップのコーンスープを飲み、レンジで温めた肉まんを食べて身体に熱を補給してから退勤する。


 本屋でこの本を見つける。“BOOKONN”の中嶋大介さんの2冊目の著書である。

 中嶋さんが古今東西の展覧会カタログから選んだ100冊ほどが紹介されている。
 まず、本を開いて目に飛び込んできたのは古川ロッパの姿だった。“古川ロッパとレヴュー時代”という早稲田大学演劇博物館で2007年に行われた展覧会のカタログだ。「ロッパできますか」とうれしくなる。
 次に目を奪われたのは1971年にパリで行われた佐野繁次郎展のカタログ。これがなんともカッコいい。アトリエらしきところでマッチでタバコに火をつけようとする佐野繁次郎のポートレイト写真の使い方がうまい。一度実物を手にしてみたいな。

 展覧会カタログのダメさ加減と相田みつを美術館の良さを語った都築響一さんのインタビューを読み、恵文社一乗寺店などの展覧会カタログを扱う本屋のページを眺めていると最後に不意打ちのように芝生が目の前に広がる。このページがいい。


 これもみちくさ市で買ったジャズのCDを聴いた。

ダスティ・ブルー(期間限定)

ダスティ・ブルー(期間限定)