字引網。


 ようやく土曜日がきた。


 夜7時に退勤。


 ひさしぶりにブックオフに行きたくなった。


 風が涼しい黄昏時を歩いて行く。


 たどり着いたブックオフでは105円本90円セールをやっていた。

 中公文庫を中心に105円棚の文庫本を買った。


 単行本の棚を周遊していて辞書のコーナーに差し掛かると小さな辞典が目に飛び込んできた。

  • 小西甚一著「基本古語辞典」(大修館書店)


 ここ数年古本屋を覗くたびに辞書のコーナーをチェックする習慣がついたのはこの1冊をわが目で確かめたかったからだ。


 網をはるように探していたこの辞典が手に入っただけでこの1週間の疲れは雲散霧消した。


 近くのモスバーガーに入り、辞典なのに監修でも編纂でもなく「著」となっている珍しい本を眺めながらテリヤキバーガーを頬張る。


 《だから、学習辞典ではあるけれど、学術的には最高レベルから半ミリもさがっていないことを、あえて断言する。》と終わっている「はじめに」を読んで、その啖呵にうれしくなる。


 これで明日の休日返上仕事も気持ちよくできそうだ。