葉桜の下の葉月。

 休日出勤野外仕事。


 仕事現場周辺には桜の木が多く、すでに6割方散ってしまっているように見えるが、時折強い風が吹くと驚くほど多量の花びらが舞い落ちる。一瞬視界が白いドットで覆われてしまったかのようだった。そこにいた人々は歓声をあげながら携帯で写真を撮り、髪の毛に名残りの花びらをつけて通り過ぎていった。見上げるとそこはすでに葉桜の並木だった。


 仕事の合間に休憩所で読書。最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人」(新潮文庫)の上巻を読み継ぐ。窓の外では桜が少しずつ葉桜にかわって行く。

星新一〈上〉―一〇〇一話をつくった人 (新潮文庫)

星新一〈上〉―一〇〇一話をつくった人 (新潮文庫)

 仕事を終えて帰宅をすると楽しみにしていた「モヤモヤさまぁ〜ず」がちょうど終わるところだった。来週も仕事だから録画しておかなくては。


 ネットを眺めると井上ひさし氏の訃報があちこちで。大学合格が決まってから大学生活が始まるまでの春の休みに買っておいた分厚い「吉里吉里人」を楽しく読んだあの日々は今思えば人生のベルエポックであった。

吉里吉里人 (1981年)

吉里吉里人 (1981年)


 桜の花びらはついていなかったが花粉はたくさんついていた体を湯船に沈める。先ほどCDの山の中から見つけたこのアルバムを聴きながら。このルーストセッションのゲッツの音色は何度聴いても春の日だまりのようである。

ザ・コンプリート・ルースト・セッション Vol.2

ザ・コンプリート・ルースト・セッション Vol.2