4冠から5冠へ。

 今日は仕事が早く終わった。明日から忙しい日々が始まるのでしばらく神保町へもいけないなと思ったら丸香のうどんが食べたくなった。


 当駅始発の電車に乗り込み神保町へ。車内で携帯本の田草川弘黒澤明vs.ハリウッド」(文春文庫)を読む。550ページを超えるあつい文庫本も佳境に入ってきた。


 神保町着。さっそく丸香へ向かう。すでに3時となり混雑のピークは過ぎており、並ばずに入れる。今日は奮発して肉うどん+ゲソ天+野菜天。ガリガリと胡椒をすり入れてうどんをすする。汁に浸したゲソ天にかじり付く。う〜ん、満腹。


 くちくなった腹を抱えて東京堂ふくろう店に向かう。前回は気づかなかったこの本を見つけた。

書物の声歴史の声

書物の声歴史の声

 平川氏が本や東大駒場学派について語ったエッセイ集。『熊本日日新聞』に「書物と私」の題で連載されたものから選んだ177編がおさめられている。「はじめに」を読むと小谷野敦氏を意識した表現が書かれている。小谷野氏の書いた東大駒場に関する本と読み比べてみると面白そうだ。


 その後、いつものように古書店街を流し、日本特価書籍で仕事関係の本を数冊購入し、「ぶらじる」でチーズケーキとブレンドを味わってから帰ろうとした時に忘れていたことを思い出し、東京堂に戻る。

星新一〈上〉―一〇〇一話をつくった人 (新潮文庫)

星新一〈上〉―一〇〇一話をつくった人 (新潮文庫)

 これを買うのを忘れてた。携帯本の「黒澤明vs.ハリウッド」は帰りの電車で読み終わりそうだったので、次の携帯本として決めていたこれを買うつもりだったのだ。


 電車に乗り予定通り「黒澤明vs.ハリウッド」を読み終える。この本は黒澤明の物語であると同時にフォックス社のプロデューサーであるエルモ・ウィリアムズの物語でもある。著者は黒澤明の苦悩よりもエルモの苦悩により同情的な立場を取っているように読める。黒澤版「トラ・トラ・トラ!」を観てみたかったと思うが、この本を読めば読むほどそれが実現する可能性のほとんどない希望であったことがよくわかる。


 「黒澤明vs.ハリウッド」を閉じてカバンにしまい、代わりに先ほど買った「星新一」を取り出して読み始める。精興社の文字が目に心地よい。「黒澤明vs.ハリウッド」の帯には“史上初の4冠受賞作”とあり、「星新一」の帯には“5冠達成”の文字が見える。4冠から5冠へバトンタッチだ。



 駅に着き、バスに乗り換えて帰る。バスの中ではiPodでラジオ「森本毅郎 スタンバイ」から荒川洋治さんが読書について話しているコーナーのポッドキャストを聴く。スローリーディングという話題で宮沢章夫「時間のかかる読書」をとり上げていた。小説は時間をおかずにすぐに読んだ方がよいという指摘はなるほどねと思う。


 帰宅して、録画しておいた「落語者」最終回を観る。古今亭菊志ん「天災」が最後の演目だった。13回で終わってしまうのは残念。気づくのが遅くて半分も観られなかった。


 夕食後、仕事の本を読む。BGMはセロニアス・モンク「5by MONK by5」。

5 By Monk By 5

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