雪に恨みはないけれど。


 朝起きて外を見ると雪が降っている。ああ、これで今日の仕事は平常勤務となった。晴れていれば昼過ぎの早じまいとなり、午後にはのんびり映画でも観に行く暇ができたのに。バスの車窓から恨めしく雪を見ながら出勤。


 あまりテンションのあがらない一日を過ごし、退勤。


 地元の大勝軒に初めて入る。ここは僕の好きなつけ麺はやっておらず、煮干しのスープが特色の中華麺の店。カウンターのみの店内は人で埋まっていた。大きな器、大きなレンゲ、通常の2人分あると書かれている麺。麺を食べるだけで満腹。これじゃ自慢のスープを飲む余裕はないのではないか。この量の多さは客の回転を遅らせるだろうし、女性客は二の足を踏むだろうし、この店の行く末を勝手に心配しながら外に出る。


 サブカル系古本屋に寄る。100円棚に先頃なくなったディック・フランシス「敵手」を見つける。NEGIさんが傑作と褒めていたので、フランシスデビューをする本としては最適と判断して購入。
 その他にチェーホフ神西清(訳)「桜の園・三人姉妹」(新潮文庫)を160円で。宮沢章夫チェーホフの戦争」(ちくま文庫)を読む前に、神西訳で「桜の園」を読んでおきたかったので買っておく。

 この店はCDも売っている。ジャズの棚でこの前から気になっていた聴いたことのないミュージシャンのリーダーアルバムを購入。

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シズリン(紙ジャケット仕様)

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 帰りのバスでは柳家権太楼「試し酒」を聴きながら、車窓に目をやる。朝の雪が幻影であったかのように白のかけらもない風景が流れる。


 家で「SIZZLIN'」を聴く。ゲッツやズートとは違う、泥臭いテキサステナーを楽しむ。そのズリズリ感をピアノのレッド・ガーランドのコロコロ感がうまく中和してくれている。


 藤田まことさんの訃報に接する。やっぱり、先日観た「剣客商売スペシャル」が最後であったか。もう少し観ていたかった。