うれしくないはずがない。


 今日は都内へ出張。


 イベント終了後、懇親会のスピーチでエジソンの言葉「天才は1パーセントのひらめきと99パーセントの汗で・・・」から努力の大切さを説くというルーティンが未だに使用されているのを目撃する。


 出張を終え、急ぎ神保町へ向かう。ここ数日あちこちのブログで『sumus』13号に関する“入荷”、“売れました”、“完売”という言葉が飛び交い、一日でも早く手に入れたくてもう毎日やきもきしていたのだ。それが今日は神保町から数駅という場所への出張が終わればフリーという日なのだから心はもう浮き足立ってしまう。ただ、神保町で『sumus』を買ったという記事をこれまで目にしていないことが一抹の不安をかき立てる。


 当然のごとく足は東京堂3階を目指していく。『sumus』という雑誌を初めて買ったのは同じ通りにあった書肆アクセスにおいてだった。アクセスの店長であった畠中さんが働く東京堂3階でこの雑誌を買いたいのだ。3階の顔である編集工房ノア本やミニコミを並べた棚に縦長の青い姿を見つけたときにまず鼓動がはやまり、カウンターに畠中さんの顔を見つけて気持ちが安らぐ。畠中さんの手から買えたことがうれしい。


 昨年の3月20日に名古屋で行われたイベントでスムースメンバーの皆さんが集まり、その席で2004年の12号以来の最新号発行の可能性が示唆されてから1年以内に本当にその姿を見ることができるとは思ってみなかった。あの場にいたものとして感慨もひとしおである。


 1階で岩波文庫から復刊されたこれを。

評伝正岡子規 (岩波文庫)

評伝正岡子規 (岩波文庫)

 今日の目的はこれで終わったわけではない。この時期のお楽しみ『みすず』の読書アンケート号を手に入れるのだ。

 岩波ブックセンター信山社にて。

  • 『みすず』1/2月号“読書アンケート特集”


 同じ日に『sumus』最新号と『みすず』の読書アンケート特集号が手に入る喜びは人生における大確幸と呼ぶにふさわしいものだと思う。なにを大袈裟なと思われるだろうが、気持ちはまさにそういうことなのです。


 こんな気分のいい日はとても気持ちよく本が買える。だから日本特価書籍に行く。

圓生の落語2 雪の瀬川 (河出文庫)

圓生の落語2 雪の瀬川 (河出文庫)

ランボー全詩集 (河出文庫)

ランボー全詩集 (河出文庫)

古文の読解 (ちくま学芸文庫)

古文の読解 (ちくま学芸文庫)


 「古文の読解」は昔旺文社から出ていた参考書の復刻版。受験生の時に小西さんのこの本と「古文研究法」(洛陽社)を愛用した。「古文研究法」はいまでも書店に並んでいる。以前からこのとてもスケールの大きい研究者に興味があり、最近でも古本屋で「日本文藝史」(講談社)を探したり、新刊で「日本文学原論」(笠間書院)を買ったりしている。
 この文庫の解説はやはり武藤康史さん。相変わらず細かい点まで目を配っているなあと感心してしまう。「古文の読解」初版と改訂版(文庫の親本はこちら)の異同をつまびらかにし、初出となった雑誌『蛍雪時代』から単行本でカットされた試験問題の出題校・出題年を探し出している。小西さんがやっていたラジオ大学受験講座までチェックし、「古文の読解」への影響にも目配せ。最後に武藤さんが触れている小西甚一氏が個人で執筆した「基本古語辞典」(大修館書店)は、既に絶版となっており、ぜひ古本屋で見つけてその中身を見てみたい。


 帰りの車内で『みすず』に目を通し、帰宅して『sumus』を手に取る。うれしくないはずがない。