年末の仇を年始で討つ。

 今年は体調不良から始まった。2日の午後に実家を出て来たのだが、電車の中で腹痛がひどくなり、吐き気が刻一刻と募っていく。途中の駅と地元の駅でトイレに駆け込む。自宅に戻ってからも数度戻してしまい3日の日は仕事をキャンセルして大人しく療養していた。
 4日から仕事を始め、今日は野外仕事に行く。寒さに備えてヒーティックを着込んでいたのだが思いの外暖かく助かった。仕事も早く終わったため銀座に出て映画を観ることにする。「のだめカンタービレ最終楽章前編」だ。実は暮れも押し詰まってからマリオンにこの映画を観に来たのだがチケット売り場の長蛇の列にうんざりし、さっさと諦めて帰ったという前科がある。今日は同じ場所かと思うくらいに空いていた。座席指定のチケットを買ってから開場時間までの間を利用して教文館に本を見に行く。前にも書いたが、近藤書店と旭屋が消えたこの街で唯一残っている僕の好きな本屋がこの教文館なのだ。だから、ここへ来ると必ず本を買うようにしている。これも何度も書いたが、好きな本屋を残すためにはその店で本を買うしか僕にできることはないから。

サンパウロへのサウダージ

サンパウロへのサウダージ

 これはどこかで内澤旬子さんが賞賛していた一冊。その勧め方が素敵だったので選ぶ。それにみすず書房も好きな出版社だから長く続けてほしいのだ。値段は高めだが買わねばなるまい。
 レジで『一冊の本』を貰ってマリオンに戻る。「のだめ」はテレビドラマの続きだから配役も作り方も先刻承知。千秋の指揮によるオーケストラの演奏をのだめが涙を流しながら聴き、観客の1人が「ブラボー」と叫んで全員でスタンディングオベーションという水戸黄門の印籠のようないつものシーンも健在。それを観にきているんだから文句はない。DVDを待って家で観ることもできるが、音楽で盛り上げる作品なので音響のいい広い場所で大音量で聴くためにはやはり映画館じゃないとね。


 帰りは携帯本の大村彦次郎「文壇栄華物語」(ちくま文庫)を読みながら。多くの作家と多くのエピソードを盛り込みながら停滞することなくページが進む面白い読み物になっている。


 帰宅してこの年末年始の自宅本として読んできた黒岩比佐子「『食道楽』の人 村井弦斎」(岩波書店)を読み上げる。
感想は長くなりそうなので明日にしょう。