読みかけ本補完作戦。


 久しぶりの休日。野外を吹き荒れる強風の音を子守唄のように聴きながらのんびりと寝過ごす。


 昨晩、小林信彦黒澤明という時代」を読み終わったこともあり、小林氏が傑作と褒める「野良犬」をDVDで観直してみる。特に前半のロケシーンが素晴らしい。世評に高い河村黎吉演じるスリ係の刑事は確かに味があるし、若い三船敏郎を導く先輩刑事志村喬の説得力はやはり演じる役者の力というものを意識させてくれる。淡路恵子のパンパンに張りきった顔は十代のみがもつ若さを画面に刻印していた。いい映画だと思う。


 昼食後、台風の過ぎ去った青空の下に洗濯物を干してから散歩がてらのブックオフへ。


 105円棚より。

キス・キス (異色作家短編集)

キス・キス (異色作家短編集)

 「キス・キス」は黒いカバーで目に焼き付いていた“異色作家短篇集”シリーズの新装版。版型も一回り小さくなりカバーの色も濃い目のピンクに変わっていた。これって開高健訳だったんだね。「ぼくの子育て日記」は子育てエッセイのアンソロジー林静一嵐山光三郎山下洋輔大島渚滝田ゆう田中小実昌平野威馬雄など。


 家に戻って読みかけだった庄野潤三「けい子ちゃんのゆかた」を読み終える。今週の『週刊文春』で坪内祐三さんがこの文庫を取り上げていて長女の今村夏子さんが書いた解説が見事に父が描いた世界を補完していることに触れていたが、その通りだなと思いつつ本を閉じる。


 今晩からは次の読みかけ本として小田光雄「古雑誌探究」(論創社)を読み継ぐことに。この秋は読みかけ本補完作戦を遂行するつもり。

古雑誌探究

古雑誌探究