日曜の最後の芝生。

 今日も出張で野外仕事。昨日より天気がよくなることが分かっているので、歌舞伎役者か小梅大夫かというくらい日焼け止めを塗りたくってから家を出る。


 蒸し暑い野外での作業と休憩時間に入る部屋のキンキンにきいた冷房のギャップを繰り返し味わううちに夕方6時。仕事が終わってぼんやり周りの景色を眺める。


 まだ、空は明るくて、薄く白い雲の縁をプラチナのように輝かしてまるで午後2時を少し過ぎたくらいだとでもいうようなそぶりを見せている。仕事現場近くの公園の芝生にスプリンクラーが水をまいている。蝉がどこかで鳴く。どこからとってもどうしようもなく夏だ。気がつけばもう夏のど真ん中にいるのだと不意に思う。



 夏にあてられたような気分で高い所にある現場から海の近くの低地にある横浜駅までバスで降りる。西口の有隣堂で文庫を2冊。

菊池寛のあそび心 (ぶんか社文庫)

菊池寛のあそび心 (ぶんか社文庫)

村のエトランジェ (講談社文芸文庫)

村のエトランジェ (講談社文芸文庫)

 地元の本屋ではぶんか社文庫が見当たらなかったのでここで買う。小沼本はそのうち買うつもりでいたのだが、そのカバーの色が先ほど見た夏の空の色を思い出させたのか、ここで手に入れようと一緒にレジへ。



 家に辿りつき、汗と日焼けで煮しめたような体を水に近いシャワーで流す。気分が軽くなり、すこし疲れも取れたような気がする。


 赤く熱を帯びた額に冷えピタを貼り、本を読む気力なくぼんやりテレビを眺める。全英オープンを眺めながら、英国へ行きたいという思いがふつふつとわいてくる。クリス・ウッドという21歳のイングランド選手が、若き日のベッカムを思わせる風貌で、何とも言えず英国のあんちゃんという感じでうれしくなる。