ひく200円。


 月曜日が来た。まだ朝の7時になったばかりだというのに湿気を含んだむんとする風が一人前の夏の顔で体にまとわりつく。


 ちょっとうんざり加減で出勤し、名称は変われど内容は変わらぬ会議に3つ出て、その後ちょこちょこと仕事をしたらもう夕方である。


 退勤して、サブカル系古本屋を覗くと新入荷の本が安く並んでいる。

古本漁りの魅惑

古本漁りの魅惑

 2冊で550円。

 「なやまない」は野見山暁治装丁の哲学小説集。冒頭の「西田経」はいきなり〈西田幾多郎の「哲学の根本問題」のおしまいの総論は、〉と書きだされるのだからすごいや。


 「古本漁りの魅惑」は林哲夫さんの漱石本を描いた装画が目をひく古本随筆のアンソロジー小島政二郎上林暁天野忠保昌正夫岩佐東一郎安藤鶴夫中野重治尾崎一雄結城信一平野謙戸板康二など豪華メンバーだ。


 最近開店したラーメン屋でつけ麺を食べる。これで3度目か。最初はなかったごはんの無料サービスが始まったのは苦戦しているからだろう。最初は物珍しさから行列もできていたが、ここ2回は半分くらいの椅子が空いていた。結構好きな味なので頑張ってほしい。


 新刊書店も覗く。再入荷された村上春樹1Q84」が平積みで並ぶ。そういえば昨日行ったブックオフでこの本が1600円で並んでいた。定価は1800円。半額どころか200円だけをひくブックオフにちょっとひく。それって自己否定にならないかブックオフよと思ったのだ。


 バスでは志ん朝「鰻の幇間」を聴く。これも鰻だから夏の噺だ。


 帰宅するとポストにブルーノートクラブのサンプラーCDと白水社の『出版ダイジェスト』が届いていた。

 CDはEMIが最近出しているブルーノートの1,100円廉価版シリーズを記念したサンプラーリー・モーガンフレディ・ハバードの溌剌としたトランペットの音がなんとも言えずブルーノートである。


 『出版ダイジェスト』の一面下コラム「愛書狂」を読む。スウィフト一流のどぎついアイロニーから書き始め、出版大手とブックオフの協定への違和感と『中公新書の森』が示す豊穣なる実りを対置したのち、〈書物は売られるために太らされた子どもではない〉と結ばれるコラムのお手本のような文章。
 裏面のコラム「本の十字路」も「淡島千景女優というプリズム」を扱い読ませる。