挿絵を買う。


 今日は知人の結婚式があるため、昼前に家を出る。


 場所は品川。だけどその前に寄りたい場所がある。日比谷線の六本木で乗り換え大江戸線築地市場で下車。地上に出るとすぐに朝日新聞社がある。ここのコンコースで高野文子挿絵展が行われているのだ。4月2日までということなのでこの機会に見ておきたかった。朝日新聞に連載された長嶋有「ねたあとに」の挿絵の原画がコンコースの左右の展示スペースにずらっと並べられている。言ってしまえば社内の廊下の壁に展示されている状態なので無料で眺めることができるというわけ。端から端へ眺めて行くだけでなんとも言えないしあわせな気分になる。描線ももちろんすばらしいのだが、その色づかいも何とも言えず柔らかく心和ませてくれる。誰も言ってくれないがどれか一枚持って帰っていいよと言われたらどれを選ぼうと考えている自分がいた。つまりそれほど気にいったということです。そうは思っても、残念ながら「ねたあとに」の単行本には挿絵は一枚も入っていない。


 ただ、壁の挿絵を眺めているうちにその絵を一枚手に入れることができることに気づいた。と言うのも長嶋有「電化製品列伝」(講談社)の表紙の絵と同じものを見つけたのだ。つまりこの表紙は「ねたあとに」の挿絵の一枚をアレンジしたものであるため、「電化製品列伝」を買えば挿絵が一枚自分のものになるという理屈である。もともと読みたいと思っていた本なので、早速買いに行くことにする。


 大江戸線大門でJRの浜松町駅に乗り換え、有楽町へ。歩いて銀座・教文館へ行く。あったありました。

電化製品列伝

電化製品列伝

ねたあとに

ねたあとに

 やっぱり「ねたあとに」も読みたくなって一緒にレジへ。カバーの絵は高野さんだしね。


 披露宴は4時からなので、かるく昼食を取っておくことに。そういえばマクドナルドで半額セールをしていることを思い出し、月見バーガーのようなやつのセットを頼むが正規の値段だ。これもビーフバーガーだろうと思うがケチくさいことを言ってもしょうがないとそのまま受け取って席に着く。隣の席の女性が熱心に読書をしている。何を読んでいるのかと横目で見ると津村記久子本だ。図書館シールが貼ってある。芥川賞作家でも本は買ってもらえないのか。きびしいな。


 品川駅に出て駅前のホテルで式と披露宴に参加する。いい式と会だった。ホテルを出ると8時を過ぎていた。 


 帰りは、携帯本のジョイス「ダブリナーズ」(新潮文庫)を読みながら。柳瀬訳ジョイスを楽しむ。