グランド・エンカウンター。


 昼過ぎまで野外仕事。

 
 職場を出て駅へ着いたら家の鍵を置いてきたことに気付きまた戻る。なんだか最近この手のことが多い。どこか壊れてきているのだと思う。

 新横浜から新幹線に乗る。駅の売店崎陽軒のチャーハン弁当を買った時、ウェッジ専用の棚があるのを発見する。駅の売店に置いてある本といったらエロ系文庫本と相場が決まっていたものだがこんな日が来ようとは。


 名古屋駅から地下鉄に乗り換えて本山駅で下車。シマウマ書房に至る。いい古本屋だなあ。スペースも本も必要十分を満たしている。本棚を見ていると山本善行さんが来店。続いて荻原魚雷さん、林哲夫さんとsumusメンバーの方々が登場。そこに書肆紅屋さんが入ってきて店内にいたドンベーブックスさんに紹介してもらう。


 店内から1冊購入。

 以前に坪内祐三さんが推奨していたので気になっていた。



 6時になり、sumusメンバーによるトークショーが始まる。先ほどの3人に岡崎武志さん、南陀楼綾繁さん、扉野良人さんが加わり6人が揃う。東京から岡崎さん、魚雷さん、南陀楼さんが、京都から林さん、山本さん、扉野さんがこの名古屋の地に集まった。名古屋と言えば、東の文化と西の文化が交わるところだとよく聞く。カップラーメンも東京風の味付けのものと関西風のものが両方売られているらしい。まさに東西から集まるには格好の場所だろう。なんだか西海岸と東海岸のジャズミュージシャンがセッションをした「グランド・エンカウンター」というアルバムを思い出した。


 配られたsumus年表を元にメンバーの出会いが語られ、書肆アクセスの畠中さんや坪内祐三さんが媒介となってメンバーの方たちが編集者に知られていき、それぞれ活躍の場が広がっていく流れが辿られる。以前に聴いた話もあるのだが、それでもメンバーの方たちの口から直に語られる話に耳を傾けているのはとても快い。いくつか知らなかった事実を聴いて驚く。ありきたりだが人生いろいろである。


 質問コーナーになって岡崎さんに突然名指しで「なにか質問は?」と聞かれてまごつく。「急にふられても」とあわてて逃げる。その後、『ARE』のサイン本プレゼントというイベントの最中に質問を思いつき、最後に手をあげて「今年で『sumus』創刊10周年なので、記念の臨時増刊号は作られないのですか」と聞いてみる。まあ、質問というより希望なのだが。「考えてみます」という答えに満足する。


 トークショー終了後、メンバーや観客の方たちの有志で近くの店で行われた2次会へ流れる。BOOKONNの中島さんや岡崎さんと同じテーブルで軽く飲んで9時10分過ぎに店を出る。名古屋駅から最終の新幹線に乗るのだ。名古屋の地に降り立ったのは今回が始めてなのだが、駅とシマウマ書房の往復をしただけ。こんどはゆっくりきたい。



 名古屋駅から10時10分発の上り最終ののぞみに乗り込む。駅の売店で初めて赤福の団子を買った。


 行きの車中で大村彦次郎「東京の文人たち」(ちくま文庫)を読了したので、坪内祐三「人声天語」(文春新書)を読みだす。『文藝春秋』の連載をまとめたものなので一篇が短く、読みやすい。読書エッセイではなく、坪内流「天声人語」なので話題は時事問題等様々だ。各回につけられたイラストの作者は小野町子という人。これってあの方ですよね。


 11時半過ぎに新横浜着。駅からのバスもなくなっているのでタクシーで帰る。

グランド・エンカウンター

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