奇妙な味のソース。

 仕事が朝から目白押し。


 自分に余裕がなくなっていることに嫌でも自覚的になる。他人に対する寛容さのメモリがどんどん下がっていくのを感じるし、肩書から“代理”、“副”、“扱い”といった類がひとつ取れただけで、昨日まで言ってこなかったことを言いに来る人がいるのもなんともしんどい。



 疲れてどんよりと退勤し、本屋へ。

二壜の調味料 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

二壜の調味料 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


 これでも高校時代はそれなりのミステリファンであり、江戸川乱歩編「世界短編傑作集」シリーズを通学の電車で読んでいたりした。その中で一番印象深かったのがこのダンセイニの「二壜のソース」という作品であった。江戸川乱歩が「奇妙な味」と賞賛した作品が改訳されて出版され、しかも「二壜のソース」で出てきたリンリー氏を探偵役とするその他の短編が収められていると聞けば読んでみたくなる。あのラストのセリフはどのように訳されているのだろう。


 レジ横で『本が好き!』4月号をもらう。


 帰宅して『本が好き!』から南陀楼綾繁「本町通りを歩こう」を読む。今回は軽井沢にある古本屋・追分コロニーを紹介している。写真を見ると江戸時代の宿場を復元したという建物がいい。靴を脱いで上がる古本屋というのもいいな。大学時代所属した研究会の春夏の合宿で何度か軽井沢に行った時のことを思い出す。また行ってみたくなった。


 追分コロニーの名前は立原道造が追分に芸術家のコロニーを作ろうとしたことによる。そういえば今住んでいる町には、昔道造が先輩に頼まれて設計した家が建っていたと聞いたことがある。それはこの町のどこにあったのだろう。