文庫とコロッケ。


 昼過ぎまで仕事。


 今日は夜に日産スタジアムで行われるサッカー日本代表対オーストラリア代表戦を見に行く予定。


 時間つぶしに馬車道に出て、伊勢佐木町ブックオフをのぞく。久しぶりに『ノーサイド』を見つける。1995年の11月号。特集は“ビートルズ同時代”。この雑誌を見つけたら迷わず買う。105円。


 その後、周辺の古本屋をまわってから大戸屋五穀米の豆乳粥で昼食。とろろと納豆とオクラのネバネバ豆腐を追加で頼む。粥の中に納豆を入れて食べる。実家で暮らしていたころ、おじやに納豆を入れて食べるのが定番だった。冷えた納豆を入れることでおじやの温度が食べやすいくらいに下がるし、納豆の味も加わってなかなかうまいのだ。今日の豆乳粥に投入してもやはりうまかった。


 有隣堂本店で『みすず』を探すが置いておらず。やはり岩波ブックセンターに行かないとだめか。


 馬車道のカフェで松本清張「渡された場面」を読みながら時間を調整し、地下鉄で新横浜へ。


 まだ試合開始までに1時間ほどあるので、駅前のブックオフに寄る。持っているはずなのに去年暮れから見つからない「夜明けのフロスト」(光文社文庫)を105円で買う。フロスト警部もの唯一の中編を読んでみたいのだ。


 まだ時間があるため、駅ビルの三省堂まで行く。そこでチケットを取ってもらった同僚に代金を払うために1万円を崩さなくてはならないことに気づく。苦労をかけた相手におつりを払わせるのは避けたい。では、ここで本を1冊買って崩そうと思うのだが、1000円以下の本では1万円札は出しづらい。かといってこれからサッカー観戦に行くのに分厚い単行本でこれ以上鞄を重くしたくもない。そこで、軽い文庫でありながら1000円をこえるものとくれば、やはり講談社文芸文庫がすぐに頭に浮かぶ。


 講談社文芸文庫の今月の新刊から「食魔 岡本かの子食文学傑作選」を選ぶ。小説だけなく、食に関するエッセイも収録されているのが魅力だ。


 同僚たちと食べるつもりのコロッケを神戸屋で買い(ここの105円コロッケは冷めてもうまいのだ)スタジアムへ。


 席は正面スタンドのちょうど向かい側に当たる2階席。前の方なのでよく見えるいい席だった。若い同僚たちと6人で観戦。僕の持って行ったコロッケは好評だった。同僚の1人が、チョコレートと携帯用容器に入れたラム酒を回してくれる。チョコを齧りながら飲むとまるで高級なケーキを食べているような感じになり、なにより暖まる。


 試合は0対0のドロー。田中達也のスピードや中村俊輔の柔らかいパス、内田の突破など見るべきものは少なくなかったが、惚れぼれしたのはセンターバックの中沢の仕事ぶり。的確な読みと献身的な動きで相手のケーヒルにまったく仕事をさせていなかった。安心して見ていられた。

 そうそう献身的な仕事ぶりと言えば、今日の試合のボールボーイ。この彼が素早いのなんの田中達也もかなわないくらいの速い動きで次々にボールを必要な場所に運んで行く。後ろの席の男性も「あのボールボーイすげえ、はえー」と感心していた。