とりあえず、校正の仕事は自分の手を離れた。
仕事を終えてブックオフへ。友人に頼まれた本などを探しに。探していた本は無事見つかる。正月セールで貰った割引券を使って文庫などを何冊か。
地元に戻り、本屋へ。
文芸雑誌の3月号が並んでいる。『群像』、『文學界』、『新潮』は揃って芥川賞作家津村記久子さんをフューチャー。対談のみの前2者に対して『新潮』は130枚の受賞第1作「とにかくうちに帰ります」を掲載している。それに加えて吉田健一論なども載っているため迷わず『新潮』を買う。
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/02/07
- メディア: 雑誌
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文庫の棚を見ていると講談社文芸文庫の1冊が少し前に出ているのが気になって手に取ると「小林秀雄対話集」だ。そのカバーの青が目に好ましい。対話相手がまず坂口安吾というのも気に入った。正宗白鳥も、青山二郎も、大岡昇平も、永井龍男も、江藤淳も、中村光夫も、福田恆存もいるじゃないか。携帯本の坪内祐三「考える人」で小林秀雄の章を読んだばかりであるのも手伝って結局買ってしまう。
桂吉朝「かぜうどん」を聴きながら帰宅し、「とにかくうちに帰ります」を読む。
津村記久子作品を読むのは初めて。豪雨で道路が封鎖され、徒歩で埋立洲にある職場から橋の向こうの本土へと帰ろうとするふた組の姿を描く。バツイチ男と塾帰りの小学生、会社の先輩女子社員と後輩の男子社員という組み合わせが前後になりながら同じコンビニを経て同じ橋を渡る。ただそれだけの話なのだが、その語り口が心地よく、誰もが主人公になりそうでなりきれないようなゆるい印象も悪くない。読者を楽しませることのできる人だと思う。他の作品も読んでみたくなった。