ワイナリーの若旦那。

 




 郊外のワイナリーへ。下戸なのだが仕事なのだから仕方ない。複数のワイナリーを回る。試飲のグラスをクイクイ空けていく同僚を尻目にちょっと口に含んでは捨てていく自分。まるで源兵衛と太助に連れられて中継ぎをする「明烏」の若旦那のようだ。飲めない若旦那は注がれた酒を盃洗にみんな空けてしまおうとするのだ。
 赤ら顔の一同が外へ出ると、そこは不夜城吉原ではなく、夏の陽光の下にどこまでも広がるブドウ畑だった。