完璧な薬屋なんてないよ。


 遅番なので、いつものごとくおこわと根菜の煮物を買ってから職場へ。


 どうやら秋の花粉シーズンに突入したらしく、先日からやたらと鼻をかむようになり、右目が充血してコンタクト越しの視界に白いベールがかけられたようになった。難儀なことだよ。


 夜8時半過ぎに退勤。


 駅前のドラッグストアの前を通ると、道路にあふれんばかりに並べられた特価品の山の中に、買わなくてはと思っていた愛用しているシャンプーとトリートメントの詰め替え用パック、それから三角コーナー用使い捨てネットがあるではないか。なぜ、ここには今欲しいものがピンポイントで置いてあるのだろうとちょっと感動する。もしかしたら、“しあわせ”も売っているのではないかと探してみたがどこにもなかった。


 本屋で仕事の本を1冊買ってから、バス乗り場近くの蕎麦屋で夕食。職場の同僚の集まりと思われる男性のグループがビールも入り、大きな声で談笑している。さっき買った本を読み始めたのだが、先ほどのグループの声が耳に響いて集中できず、本を閉じる。20代から40代までを取り混ぜたそのグループの話題はアニメ。ガンダム世代と思われる若い男性が、映画「アルマゲドン」がガンダムのストーリーをパクっているという話から始まり、いろいろとガンダムワールドを周囲にレクチャーする。なんだか「アメトーク」のガンダム芸人の回を見ているようだ。なぜガンダムという名前なのか、なぜ現在より未来の設定になっているのに原爆のような大量破壊兵器を使わないのかなど知らなかったトリビアを教えてもらいちょっと得した気分になる。
 宇宙戦艦ヤマトエヴァンゲリオン未来少年コナンと話題は転換し、ルパン三世の最終回を宮崎駿が作っていてそれが……というところで店を出る。


 バスでは桂枝雀「権兵衛狸」を聴く。