思考と行動の間。


 家を出て池袋に向かう。


 車内は小林信彦紳士同盟ふたたび」。この本を以前に単行本で読んでいるはずなのだが、「紳士同盟」ほどの既視感がない。



 11時過ぎに往来座へ到着。さっそく欲しかった新刊を2冊購入。


 武藤さんの「大阪京都死闘編」は、そのプロトタイプ(手作りの試作品)をNEGIさんのお宅にお邪魔した時に本人から見せてもらい、「これ、本にして売ったら面白いからきっと売れるよ」という南陀楼さんの発言に同感し、「500円くらいだったら絶対買いますよ」と言った手前、買わないわけにはいかないのだ。もちろん、いやいや買うわけではなく、この本のもとになった旅行記は武藤さんのブログ「m.r.factory」で読んだ時から大好きだったので、それに楽しいイラストや手書き文字、そして楽しい注が付いたこの本を手にすることを楽しみにしていたのだ。期待どおりのインパクトがありながらもどこかラブリーな1冊に仕上がっていた。さっそくそこにいた作者ご当人にサインをお願いする。シンプルに「2008.9.7.武藤良子」というサインをしてくれた。「晩鮭亭さんへ」なんて書いてもらえるのかと期待していたのだがそれはなし。誰かが言った「武藤さんは漢字が書けない」という冗談が一瞬頭をよぎる。


 市川さんの「おんな作家読本」は明治生まれ編となっているところをみると売れ行き次第では[大正生まれ編]、[昭和生まれ編]も出るのだろうか。




 伴健人商店の棚を見に行くと、直射日光がどんと照りつけてくる。暑い。「嫌記箱」を出している塩山芳明さんがいた。今回はいろいろと対策を講じてきたということで「嫌記箱」の売れ行きも上々とのこと。伴健人商店も思いのほか売れていてホッとする。


 他の方たちの出されている本を見ていると欲しかったこれを見つけて即レジへ。


 テレビの「鬼平犯科帳」でナレーターをやっていた故中西龍氏を描いた評伝小説。


 いつものように日曜日は昼過ぎから人が出てくる。NEGIさんと遅めの昼食を食べて戻ってきたころから人が増えた。


 閉店の5時まであと30分ほどというところで急に夕立ちが。あわてて本にシートをかけたり、店内に棚を入れたりと大忙し。みんな雨に濡れながら撤収作業を終える。


 打ち上げはいつもの「世界の山ちゃん」。今日は塩山さんや朝さん(僕の所属するユニット朝晩bukubooksの一員)と同じテーブルに座る。そこへ、詩の出版社社員から歌手へ転向したPippoさんがくると塩山さんのギアが一気にトップへ入り、Pippoさんについての話題でぐいぐいと我々同席者を追い込んでいき、三人とも腹が痛くなるまで笑わせられる。相変わらず、塩山さんのサービス精神はずこい。楽しい時間を過ごした。



 また、この打ちあげでブログ「正式の証明」のu-senさんを退屈男さんから紹介される。それにしてもみんな若いなあ。


 
 帰りの車中でも「紳士同盟ふたたび」を読む。



 今回の伴健人商店の売り上げは計32冊で13,000円でした。ご来場の皆様、お買い上げいただいた皆様ありがとうございました。


 帰宅して、今日Pippoさんから買った彼女のアルバム「Yellow Orchestra」を聴きながら、「大阪京都死闘編」の南陀楼さんの解説「「野放図なうつくしさ―私が見た武藤良子」を読む。武藤さんを描いて余すところのないすばらしい解説である。なにより笑ってしまう。



 思考と行動との間に距離がなく、「世界一高い山に住む生命体」の呼び名を持つすばらしい画家であり、文章の書き手である武藤さんの本は明日月曜から神保町の東京堂三省堂で販売されます。武藤ワールドを味わいたい方は是非。