本屋でゴドーを待たないで。


 真夏が戻ってきたのかと思わせる一日。


 ありがたいことに今日は屋内で事務仕事。銀行で両替してきた紙幣と硬貨を書類とともに封筒に入れ、宛名を書くという作業を誰もいない部屋にこもってもくもくと続ける。給与などの銀行振込みが一般化した現在こういう作業をしている人間も少ないのではないかと思いつつ、伝統芸能の継承者にでもなったつもりでやり終える。


 その他、郵便局へ速達を出しに行ったり、問い合わせの電話をかけたり、書類をファックスで送ったりなどをして一日を終える。毎日こういう仕事だけなら楽でいいのだがなあと勝手なことを思いながら退勤。


 本屋へ。そう言えば新潮社のクレストブックスから堀江敏幸編の短編集が出ていたなあと外国文学の棚の前に行くとそこには中年の女性が立っていて携帯でお話し中。

 「そう、いま本屋にいるの。ええ、そう、そうなの。じゃあ、まだここで待っていればいいのね」


 女性はその言葉通り「ここ」である外国文学棚の前で立ち読みをしながら動かない。彼女のおなかのすぐ前に面出しの堀江編クレストブックが。しばらく回遊していればいなくなるだろうといつものコースを一巡して戻ってくるが、いつまでも来ない「ゴドー」を待つかのように女性はそこに立ちつくしている。諦めて店を出た。


 CDショップでジャズの廉価版CDを見ていたらあまり聴いたことがないジャズマンのアルバムを聴きたくなって2枚買う。



 帰宅後、買ってきたアルバムを聴きながら、外市出品用の本に値札を挟んでいく。今日10冊ほど新たに本を見つけて総数は70冊を超えた。今回はこれくらいでいいかな。


 今日聴いたアルバムはこれ。

ラッキー・ストライクス

ラッキー・ストライクス