マジック・リアリズムの雨。


 今日も一日出張野外仕事。



 仕事の空き時間に仕事場から少し離れた休憩所に行く。持ってきた小林信彦紳士同盟」を読もうとしてウトウト居眠り。


 この場所に出張でくるようになってもう20年になる。この休憩所にも20年通っていることになるのか。数年前までここにはパンやアイスや飲み物を置いた売店があって売り子のおばちゃんがいた。僕の顔を覚えてくれていて「大変ですねぇ」なんて声をかけてくれたりもしたのだが管理している団体の方針で売店は閉められおばちゃんもいなくなった。今はパンやペットボトルの自販機が置いてあるだけ。さびしいものだ。


 午後にも空き時間があったのでここに来る。1時間ほど「紳士同盟」を読み進む。そう言えばこの20年間ここでいろいろな本を読んだなあと思い出す。一番読んだのは一時はまっていたロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズだろうか。あの名高い「初秋」も木々に囲まれたこの場所で読んだ。舞台となるボストンの街もこのように緑多き場所であろうと行ったこともないくせに思いつつ。



 この仕事を退くまでにこの場所であと何冊読めるだろうか。


 
 今日は最後まで降られることなく仕事終了。



 地元に戻り本屋へ。

本棚〈2〉

本棚〈2〉



 やっぱり、このような他人の本棚覗き見系の本には目がないので買ってしまう。


 駅ビルのうどん屋で夕食をとりながら、「本棚2」から岡崎武志さんや都築響一さんの本棚を覗き見。岡崎さんは最初の読書体験を江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズだと語っている。僕も小学生の時「少年探偵団」シリーズで読書の楽しみを覚えた。学校からの帰り道ポプラ社の単行本を読みながら歩いて帰ったものだ。僕の人生で歩きながら本を読んでいたのはあのポプラ社との蜜月時代だけだった。


 家に向かうバスが走り出す少し前に「紳士同盟」読了。


 バスを降りるとものすごい雨。なんだか現実離れしていて、まるでラテンアメリカ文学マジック・リアリズムの世界のようだ。そう、ガルシア・マルケス百年の孤独」のマコンド村に降る雨のような。