阪妻もどき。


 仕事を終えて電車に乗る。目指すは高田馬場。「決闘高田馬場」の阪妻のような気分で再開されたBIGBOX古本市に向うのだ。



 リニューアルなったBIGBOXの9階の特設会場へ。明るくきれいな店内に流れるJAZZ。1階入り口前の時とはずいぶん雰囲気がちがう。空調もばっちりきいてじっくり本を選ぶことができる。


 棚を見ていたら肩を叩く人がいる。岡崎武志さんだ。岡崎さんの知っている高田馬場駅近くのジャズ喫茶(古本も売っている)に連れて行ってもらう。なかなかいい店だ。ジャズを聴きながらあれこれおしゃべり。「貯金してる?」と聞かれる。生活の心配までしていただいて申し訳ありません。大丈夫です、岡崎さん。


 
 地元に戻り本屋へ。

紳士同盟ふたたび (扶桑社文庫 (こ13-2))

紳士同盟ふたたび (扶桑社文庫 (こ13-2))



 もちろん新潮文庫版を持っているのだが、巻末に「東京のロビンソン・クルーソー」収録の作家論集「深夜の饗宴」が入っているとあらば買わずばなるまい。
 こんなことしているから、心配されるんだよな。




 帰宅後、大原富枝「彼も神の愛でし子か」(ウエッジ文庫)読了。洲之内徹という人物を左翼活動と戦争体験、そして女性関係という観点から描き出そうとした評伝だ。女性である大原さんにとって何人もの女性とだらしなく関係を持ち続けた洲之内さんは、許せない不快感を抱かせる存在であったにちがいない。若き日の文学仲間として自分の青春時代を共有した存在への愛憎半ばする思いがこの本を書かせているのだろう。