モリー・トシフスキーと狐。


 カーテン越しに強い陽射しが部屋に差し込んで気温が上がり、目が覚める。


 起きて寝床の中で「古今亭志ん朝DVD全集」から「寝床」と「鰻の幇間」を観る。この2席を1枚にまとめているのは“鰻の寝床”という言葉を意識した編集なのかな。


 溜まりに溜まった洗濯物を処理するために洗濯機を2度回す。その他ワイシャツを抱えてクリーニング屋に行ってから駅に向かう。電車で横浜へ。


 仕事でもないのに日曜の横浜駅周辺に行くのは嫌なのだが海外出張の買物をゆっくりできるのは今日しかないので仕方ないのだ。


 まずは横浜そごうでサマージャケットを購入。その後、靴を探すがちょうどいいものがない。そごう内の本屋に寄る。窓の向こうにベイブリッジが夏の陽射しに白く光っていた。


 うんざりするような人波を避けながら西口に移動し、ヨドバシで昨日買い忘れたデジカメ用のSDカードをポイントで入手。とりあえず用が済んだのでサッサと横浜を後にする。


 地元に戻り本屋へ。


 『手みやげを買いに』は売切れていたのだが再入荷していた。欲しかったのだ。


 それから駅ビルで買物の続き。セール品の中にいい靴を見つける。なんとか今日予定していた購入品目を無事に手に入れることができた。これで海外出張に向けて気持ちが前向きになる。



 帰宅後、携帯本として持ち歩いていた堀江敏幸「回送電車」(中公文庫)読了。僕もやっとモリー・トシフスキーに出会えた。
 続いて読みさしであった「もっと、狐の書評」を手に取る。書評家・狐の自称でもある〈本欄〉という文字に出会うと思わずニヤッとすると同時にゾクッともしてしまう。


 これらの読書の合間に今日買って来た『手みやげを買いに』をパラパラ眺める。NEGIさんが“わめぞ特集”という言葉で表現したことが納得のいく1冊。木村衣有子さんが、南陀楼綾繁さんが、古書往来座が、旅猫雑貨店が、古書現世がそろい踏み。それを脇に避けたとしても見ていて楽しい。あれも食べたい、これも買いたいと妙に物欲と食欲がかき立てられてしまう。


 海外出張の準備が今日で随分進んだのだが、重要な案件であるどんな本を何冊持って行くかに関してはまだ決められていない。これを考えるのが一番の楽しみであり、悩みなのだ。